1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670762
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
児嶋 久剛 京都大学, 医学部, 講師 (10127079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 孝一 京都大学, 医学部, 助手
野々村 光栄 京都大学, 医学部, 助手 (40218342)
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Keywords | 喉頭癌 / 音声リハビリ-テ-ション / 人工喉頭 / 喉頭全摘術 / 喉頭部分切除術 / 喉頭プ-シング / 喉頭再建 / 声帯再運動化 |
Research Abstract |
会話によるコミュニケ-ションは社会生活をおくる上で大変重要なものであるが,喉頭癌で喉頭を部分的に切除されると声が嗄れ,癌が進展した例では喉頭を摘出され音声言語機能を喪失してしまう.本研究の目的は,これらの患者の音声再獲得を図るための方法や新しい人工喉頭の開発にある.本研究ではまず,従来の喉摘後の代用発声法である食道発声や市販の人工喉頭の音声を分析した.食道発声では音圧が安定せず振動の周期性に乏しいこと,人工喉頭は音源が生来の喉頭の位置にないため,構音や音質に問題があることなどがわかった.現存の方法の中では,音声プロテ-ゼを使用した気管食道シャント発声が最良のものであり,これは駆動力として呼気を利用していることによると考えられた.さらに,シャント発声の振動機構や音声改善法が明らかにされた. 音声の面からみると,理想的な音源の位置は下咽頭で,駆動力は気流であると考えられた.これらの結果をもとにして新しい皮膚下咽頭瘻型人工喉頭を試作した.呼気を利用してリ-ドを振動させ,この音を皮膚下喉頭瘻孔から下咽頭腔に入れて構音するもので,通常の声に近い,良好な音質が得られた.長期留置あるいは埋め込み可能な材質,形状の決定,小型化は行い得ていない.今後の課題である. 喉頭を部分的に切除した場合には残存している組織をどう活用するかが問題になる.再建方法としては,長期的に萎縮の可能性の少ない甲状腺を材料として用いる方法や良好な粘膜振動を得るための遊離粘膜移植法を考案,施行し,良好な結果を得た.また,再建声帯を制御するトリガ-として喉頭の枠組みの外にある前筋(輪状甲状筋)の発火を用いる方法を開発し,犬に用いたところ良好な声帯の再運動化が得られた.さらに本法を人に応用し声帯の再運動化と良好な音声が得られた.
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Research Products
(14 results)
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[Publications] Kojima Hisayoshi: "Laryngeal Pacirg in Unilateral Vocol Cord Paralysis" Arch Otolaryngol Head Neok Surg. 116. 74-78 (1990)
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[Publications] Omori Koichi: "Evaluation of the Voice Quality of tracheobsophageal and Esophagoal Speach" STUDIA PHONOLOGICA. 24. 48-54 (1990)
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[Publications] 大森 孝一: "気管食道シャント発声の振動機構" 耳鼻臨床. 83. 1087-1092 (1990)
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[Publications] Kojima Hisayoshi: "Thyroid gland flap for glottic reconstruction after vertical laryngectomy" Am.J.Otolaryngol. 11. 328-331 (1990)
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[Publications] 大森 孝一: "フィブリン糊を使用した遊離粘膜移植による声門狭窄の一治療経験" 耳鼻. 36. 197-199 (1990)
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[Publications] 大森 孝一: "肩甲舌骨筋による声帯再建法" 耳鼻臨床. 83. 1219-1222 (1990)
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[Publications] 児嶋 久剛: "甲状腺弁法による喉頭再建術の術後成績" 耳鼻臨床. 83. 1223-1227 (1990)
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[Publications] 大森 孝一: "食道発声の客観的評価法ー母音の音質を対象としてー" 耳鼻臨床. 83. 1423-1427 (1990)
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[Publications] 大森 孝一: "気管食道シャントにおける誤燕防止弁作製法の検討" 日気食会報. 41. 404-409 (1990)
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[Publications] 野々村 光栄: "前筋・側筋縫合による麻痺声帯の再運動化" 耳鼻臨床. 83. 1737-1741 (1990)
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[Publications] Kojima Hisayoshi: "Electrical Dacing for dynamia treatment of unilateral vocal cord paralysis.Experiment in longーdenervated muscle" Ann Otol Rhinol Laryngol. 100. 15-18 (1991)
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[Publications] 大森 孝一: "最大エントロピ-法による嗄声の分析" 音声言語. 32. 255-260 (1991)
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[Publications] 児嶋 久剛: "ー側反回神経麻痺に対する動的再建法ー前筋側筋縫合術の臨床応用ー" 喉頭. 3. 93-96 (1991)
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[Publications] 大森 孝一: "喉頭形成の基礎知識" 京都喉友会会報. 35. 62-69 (1991)