1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670788
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三嶋 弘 広島大学, 医学部, 助教授 (20034100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 篤 広島大学, 医学部・附属病院, 医員
永田 淳士 広島大学, 医学部・附属病院, 医員
木内 良明 広島大学, 医学部, 助手 (40214738)
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Keywords | イノシト-ル燐脂質代謝回転系 / プロテインキナ-ゼC(PKC) / イノシト-ル1、4、5ー三燐酸(IP3) / 毛様体上皮 / 眼圧調整機構 |
Research Abstract |
毛様体上皮におけるイノシト-ル燐脂質代謝回転系の眼圧調節における役割を検討するため、培養した家鶏胚毛様体上皮細胞を用いて、プロテインキナ-ゼC(PKC)活性とイノシト-ル1、4、5ー三燐酸(IP3)の各種眼圧下降剤刺激による変動を検討した。加えてイノシト-ル燐脂質代謝回転系の眼圧に及ぼす影響についても検討した。 1.白色家兎眼における眼圧動態の検討:白色家兎眼に直接PKCを活性化させる12ーテトラデカノイルホルボ-ルー13ーアセテ-ト(TPA、2.5ー10μM)とカルシウムイオノフォアの一つであるA23187(7.5ー15μM)の単独点眼ではわずかな眼圧下降を示したにすぎなかった(最大眼圧差TPAで1.56+0.34mmHg、A23187で1.87+0.44mmHg)。しかし10uM TPAと15uM A23187を組合わせた点眼では、16時間にわたる著明な眼圧下降(最大眼圧差5.0+0.56mmHg)が認められ、この眼圧下降はPKC阻害剤であるスタウロスポリン(0.5μM)点眼の前処置により抑制され。このことから、TPAとA23187の組合せにより生じた眼圧下降はPKCの活性化と細胞内へのCa^<2+>動員により生じたものと考えられ、眼圧調節機構にイノシト-ル燐脂質代謝回転系が関与している可能性が示唆された. 2.培養家鶏胚毛様体上皮細胞を各種眼圧下降放で刺激したときのPKC活性とIP_3量の変動:50μMのカルバコ-ル刺激においてPKC活性は30分後に約2、3倍に、IP_3量は15秒後に約2倍に上昇した。このIP_3量の増加はカルバコ-ル濃度0.5〜50μMにおいて濃度依存性であった。また、5μMのカルバコ-ル刺激ではPKC活性は変化しなかった。50μMのイソプロテレノロ-ル、エピネフリン,チモロ-ル刺激では、培養毛様体上皮細胞のPKC活性はほとんど変化せず、一方、IP_3量はむしろ一過性の減少傾向が認められた。このIP_3量の減少は薬剤濃度5μM外下では認められなかった。 これらのことから、イノシト-ル回転系が眼圧調整機構に関与している可能性が示唆された。
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