1992 Fiscal Year Annual Research Report
眼内レンズ挿入眼における眼内レンズ周囲の細胞および組織反応に関する実験的研究
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02670789
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石橋 達朗 九州大学, 医学部, 講師 (30150428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 克尚 九州大学, 医学部, 助教授 (80037473)
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Keywords | 眼内レンズ / 後発白内障 / 線維性混濁 / 水晶体上皮細胞 / 前嚢混濁 / 膠原線維 / 透過型電子顕微鏡 / マクロファージ |
Research Abstract |
眼内レンズ(IOL)移植後にみられる後発白内障は、視力低下やIOLの偏位などを生じ、臨床的に問題となる。後発白内障のひとつに、切開した前嚢縁に生じる輪状の白色の混濁がある。この混濁は術後早期に生じ、前嚢がIOLに接している部に強くみられる。その原因として、水晶体上皮細胞の線維性化生が考えられているが、まだ不明の点が多い。今回、サル眼にIOLを挿入し、前嚢切開縁にみられる輪状の混濁を病理組織学的に検討した。混濁部を透過型電子顕微鏡で観察すると、細胞成分と細胞外成分の増生が前嚢とIOL光学部の間にみられた。細胞は紡錘形を呈していたが、デスモゾームや基底板を有し、水晶体上皮細胞と考えられ、線維芽細胞への化生はみられなかった。また変性、壊死をきたした水晶体上皮細胞もみられた。細胞外成分として、膠原線維、細線維、基底板様物質などが認められた(日本眼科学会雑誌に投稿中)。 また人眼より摘出した5つのIOLの表面を透過型電子顕微鏡を用いて検討した。摘出理由はIOLの偏位である。IOLの表面は平滑で、膜様物がみられた。2つのIOLの表面には細胞がみられ、マクロファージと巨細胞であった。しかし、異物肉芽腫は全例にみられなかった(Cells and Materials 1:301-306,1991)。
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[Publications] Ishibashi T: "Fine structure on top of intraocular lens surface:a transmission electron microscopic study" Cells and Materials. 1. 301-306 (1991)
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[Publications] 恩田 健: "t-MACHA(トラネキサム酸)を使用した家兎IOL移植術" 眼科手術. 5. 337-340 (1992)