1992 Fiscal Year Annual Research Report
前房隅角におけるglycosaminoglycansと眼圧および緑内障との関係
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02670790
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田原 昭彦 九州大学, 医学部, 助手 (90117169)
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Keywords | 前房隅角 / 隅角線維柱帯 / プロテオグリカン / 落屑緑内障 / ステロイド緑内障 / スタージ・ウエーバー症候群 / グリコスアミノグリカン / クプロメロニック・ブルー |
Research Abstract |
1)眼球摘出およびトラベクレクトミーの手術の際に得られた落屑緑内障の症例の隅角、虹彩、毛様体、水晶体、脈絡膜、網膜をクプロメロニック・ブルーで染色し、プロテオグリカンの分布を組織化学的に調べた。その結果、隅角、虹彩、毛様体、水晶体に落屑物質が存在していて、その落屑物質には染色物は多量に分布していた。従って、落屑緑内障では、前眼部に分布する落屑物質に多量のプロテオグリカンが存在し、このことが眼圧上昇と関係する可能性が示唆された。 2)落屑症候群が存在する摘出眼球の隅角を実体顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡で観察して、落屑症候群における隅角の色素沈着の本体を組織学的に検索した。その結果、隅角線維柱帯の線維柱細胞の中に多量の色素顆粒が存在していた。このことが落屑緑内障の隅角検査で線維柱帯に色素沈着が強く観察される理由と考えられた。 3)ステロイド緑内障の症例のトラベクレクトミーの際に得られた隅角摘出標本をクプロメロニック・ブルー染色し、さらに酵素消化試験を行なってプロテオグリカンの分布を検討した。その結果、隅角線維柱帯の傍シュレム管結合組織およびシュレム管側の角強膜網の線維柱間隙に存在する基底板様の無定形物質に多量のヘパラン硫酸系のプロテオグリカン存在することがわかった。そして、このことがステロイド緑内障の眼圧上昇と関係すると考えられた。 4)緑内障を伴うスタージ・ウエーバー症候群の、トラベクレクトミーの手術の際に得られた隅角摘出標本を光学顕微鏡、電子顕微鏡を使用して組織学的に観察した。その結果、本緑内障では隅角線維柱帯に血管腫を生じる可能性があること、またシュレム管が充分に発達していない症例があることが明らかになった。
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[Publications] 田原 昭彦、猪俣 孟: "隅角発育異常緑内障眼の前房隅角組織におけるプロテオグリカンの分布" あたらしい眼科. 9. 47-53 (1992)
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[Publications] 田原 昭彦,猪俣 孟: "眼の組織・病理アトラス 67 眼鉄錆症" 臨床眼科. 46. 598-599 (1992)
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[Publications] Taiji Sakamoto,Akihiko Tawara,Hajime Inomata: "Goniodysgenesis of the eye with arthrogryposis multiplex congenita" Ophthalmologica. 204. 210-214 (1992)
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[Publications] 田原 昭彦: "巻頭言:強膜の細胞外マトリックス" 日眼. 97. 143-144 (1993)
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[Publications] 園田 康平、木村 一賢、桝本 美樹、坂本 泰二、田原 昭彦、猪俣 孟: "トリアムシノロンアセトニドの前部テノン嚢下注射後に眼圧が上昇した3例" 臨眼. 47. 167-171 (1993)
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[Publications] 田原 昭彦: "中山書店、東京" Current Encyclopedia of Ophthalmology 9 眼科手術、5.緑内障 5.1外科的解剖,生理, 676 (1993)