1991 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉線維芽細胞の機能と遺伝子発現に関するサイトカインの調節作用
Project/Area Number |
02670812
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Research Institution | Miekai University School of Dentistry |
Principal Investigator |
花沢 重正 明海大学, 歯学部, 助教授 (60060258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 滋 明海大学, 歯学部, 講師 (90167958)
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Keywords | 炎症 / サイトカイン / 歯肉線維芽細胞 / 歯周病病原性細菌 / 歯周疾患 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きP.gingivalis線毛による歯周組織の構成細胞の炎症性サイトカインの遺伝子発現とその遺伝子産物に関する誘導効果について、また炎症性サイトカインの歯肉線維芽細胞や骨芽細胞などの炎症性サイトカイン発現などについても検討した。その結果以下の知見を得た。 1)本線毛はマウス腹腔マクロファ-ジの好中球走化性因子であるKCの遺伝子発現を著明に誘導した。この遺伝子誘導効果はprotein kinase CのactivatorであるTPAによる24時間処理による明らかにdouwn regulationの作用を受けた。また、その酸素に対し比較的高い特異性を示すHー7でほぼ完全に阻止された。一方cyclic nucleotideーdependent protein kinaseの阻害剤では全く作用を受けなかった。さらにその活性化剤で処理してもその遺伝子を誘導することはなかった。これらの結果はこの遺伝子がprotein kinase Cの活性化を介して誘導されるものと思われる。 2)本線毛による歯肉線維芽細胞のILー6遺伝子のは続現とその遺伝子産物にさようについて検討したところ、本細胞のILー6の遺伝子発現は線毛処理により著明に誘導され、その効果は線毛濃度依存的であった。しかしながら、この線毛によるILー6遺伝子発現は抗ILーlalpha抗血清により約50%抑制された。しかし、このような抑制作用はILーbata抗血清では全く検知できなかった。これらの結果は本線毛によるILー6の遺伝子発現にはendogenousILーlalphaの関与が示唆された。故に、その処理線維芽細胞の上清中のILー6について測定したところ全く検知することはできなかった。このことは、このILー6の遺伝子発現が膜結合性ILーlalphaにより一部担われていることを示唆する。 3)ILーl並びにTNFーalphaを歯肉線維芽細胞に作用させ、そのILー6、単球走化性因子JEの遺伝子発現などについて検討した。その結果、これらサイトカインは明らかにこれら炎症性サイトカインの発現を誘導した。 歯周疾患で認められる歯肉の炎症と歯槽骨の吸収という二つの病態は極めて複雑かつ精緻で秩序だったサイトカインネットワ-ク機構ど歯周疾患病原性細菌などの感染により乱れ発症ならびに進展することの可能性が示唆された。以上の可能性から推察し成人性歯周疾患の一病原性細菌であるBacteroides gingivalisの線毛はその組織への付着性から考え、一連の歯周組織で認められるサイトカインネットワ-クのtriggerとして機能し、その過剰な刺激がその制御されたそのサイトカインネットワ-クの乱れを誘導するものと思われる。今後、この点についてさらに究明することが重要のように思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Hanazawa,Y.Murakami et al.: "Bacteroides(porphyromonas)gingivalis fimbriae activate mouse peritoneal macrophages and induce gene expression and production of interleukinー1." Infection and Immunity. 59(6). 1972-1977 (1991)
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[Publications] 牛 忠英,花沢 重正,竹下 玲ら: "ヒト歯根膜由来の線維芽細胞の機能と遺伝子発現に関するtransforming growth factorーbetaの作用." 歯科基礎医学雑誌. 33. 133-140 (1991)
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[Publications] A.Takeshita,Zhon Gying Niu.S.Hanazawa et al.: "Effect of interleukinー1 beta on gene expressions and functions of fibroblastic cells derived from human periodontal ligament." J.Periodontal Res.(1991)
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[Publications] S.Hanazawa,A.Takeshita et al.: "Transforming growth factorーbetaーinduced gene expression of mocyte chemoattrant JE in mouse osteoblastic cells,MC3T3ーE1." Bioche.Biophys.Res.Commun.180. 1130-1136. (1991)
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[Publications] S.Amano,S.Hanazawa,et al.: "An assay system utilizing bone for assessment of differentiation of osteoclast progenitors." J.Bone Mine.Res.7. (1992)
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[Publications] S.Hanazwa,Y.Murakami et al.: "Porphyromonas gingivalis fimbriae induce expression of the neutrophil chemotactic factorKC gene of mouse peritoneal macrophages:The role of protein kinase C." Infection and Immunnity. 60. (1992)