1992 Fiscal Year Annual Research Report
摂食様式の異なる魚類における顎筋の筋線維構式と生化学的性質に関する系統的研究
Project/Area Number |
02670813
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
前田 憲彦 広島大学, 歯学部, 教授 (60049418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 光輝 広島大学, 歯学部, 助教授 (00034190)
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Keywords | Fish / Adductor mandibulae / Muscle fiber composition / Succinic dehydrogenase / LDH isozymes |
Research Abstract |
咀嚼筋の機能に関する系統学的研究の一環として,歯の発達度の比較的進んでいるサケ科魚類のなかのイワナ,ヤマメ,および特殊な歯である咽喉歯を持つフナ,コイ,オイカワ,ウグイ等の発達段階における閉顎筋の筋線維構成とLactate dehydrogenase(LDH)のアイソザイムパターンの変化について主として解析してきた.これらの種族の摂食行動がそれぞれ異なっていることは前年度に既に給告したが,発達の各ステージにおいて,成体に達するまで食性が段階的に異なってくることが今回の調査でも明らかになった.また,それぞれの種の発育段階で共通している現象として,発育段階の初期においてはSuccninic dehydrogenase(SDH)染色による所見では,活性の弱い線維が全体を占めているが,成長にともなってred muscle fiber,intermediate muscle fiber,whitemuscle fiberが出現してくることであるさらに,LDHアイソザイムについては,発育初期において,まずLDH5が出現し,成長にともなってLDH4からLDH1が発現してくることが明らかになった.しかも、SDH染色における活性の最も高いRed muscle fiberの占める割合は摂食行動時における特続性を必要とする顎運動様式を採用している種ほど高い,このような種ではLDH-1の占める割合も高いことが判明した.これらの知見は閉顎筋の発達と歯の発達が種の進化の過庭で重要な関連を持っていたことを示唆するデータとして興味深い。
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