1990 Fiscal Year Annual Research Report
低カルシウム環境下の骨田来細胞の細胞内情報伝達系の解明
Project/Area Number |
02670822
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久田 洋 北海道大学, 歯学部, 講師 (20001018)
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Keywords | 骨系細胞 / 低カルシウム環境 / 細胞内遊離カルシウム / 細胞内情報伝達系 / プロテインキナ-ゼC活性 / アルカリフォスファタ-ゼ活性 |
Research Abstract |
細胞内情報伝達系の研究は、多種の細胞を対照に急速な進展を示し、特にカルシウム(Ca)依存性の系に関与するイノシト-ル1,4,5ー三燐酸(IP_3)、プロテインキナ-ゼC(PKC)の生成過程及びその役割の解明は著しい。しかし、体内Ca量の大部分を含む硬組織の形成を荷う骨系細胞のそれは、当研究室の一連の研究を除くと殆んど報告されていない。 本研究は、骨由来細胞が細胞外Ca濃度が生理的に低濃度即ち低Ca環境下で、外部刺激に対する細胞応答及び細胞内遊離Ca([Ca^<7+>]i)の動態を正常環境下のそれと比較し、骨の病態解明への手縣りとして行った。 [方法]細胞:ラット胎児の菅蓋骨より採集し8日間培養した初代細胞を用いた。環境:培養液のCa濃度を正常2.5mM、低環境0.34及び0.15mMとした。側定:[Ca^<7+>]iはFura2/AMによる蛍光光度、PKC活性測定は[rー ^<37>P]ATPによるイムノアッセイ法、PKC蛋白質分析は電気泳動法を用いた。猶、研究上必要性を生じたアルカリ性(ALP)と酸性(ACP)フォスファタ-ゼ活性測定はkind&king法により、分光光度計で得た。 [結果]低Ca環境下の細胞では対照(正常)のそれに比較し、以下の結果が得られた。[Ca^<7+>]i量:いづれも細胞内全Ca量は低いが、1mM CaCl_7存在下で細胞を刺激すると[Ca^<7+>]i量の増加は極めて高く、低環境の細胞が著しいCa取込みが起こることを示唆する。PKC活性:Cytosolic及びsolubilizd particulate fraction共に有意に任く、以前に測定したIP_3量の結果と同調し、細胞応答反応が抑制されていることが考えられた。PKCの分子種の同程は現在進行中である。この遅れは、必要上測定したALP活性が正常に比べ低Ca環境の細胞で顕著に高く、ALPaseがCaの取込みに重要な役割を有することから、Caの動態に重要な方向を与えていると考え、この点について実験の方向を展開している為である。 本年は、この遅れ及び派出的な点について研究を進めたい。
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[Publications] 松本 章・久田 洋・吉村 善隆: "低カルシウム環境中止に伴う培養骨系細胞におけるプロテインキナ-ゼC活性の回復について" 日本薬理学会誌(第41回北部会). 要旨集. 65 (1990)
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[Publications] 久田 洋・吉村 善隆・松本 章: "培養骨系細胞の細胞内遊離カルシウムに及ぼす環境のカルシウム濃度の影響" 歯科基礎医学会雑誌. 32. 65 (1990)
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[Publications] Matsumoto,A.,Hisada,Y.: "Intracellular free calcium and phosphatidyl inositolー1,4,5ーtriphosphate in bone cultured in a low calcium environment." J.Bone and Mineral Metarolism.
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[Publications] Hisada,Y.Matsumoto,A.: "The changes of intracellular free calcium concentration after the stimulation of concanavalin A or phosrholipase C in bone cells cultured in a lowーcalcium environment." Archs.Oral Biol.
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[Publications] Matsumoto,A.and Hisada,Y.: "Protein kinase C activity in bone cells cultured in a low calcium environment." Dentistry in Japan.