1990 Fiscal Year Annual Research Report
成熟期エナメル芽細胞におけるリソゾ-ム性酵素の機能に関する基礎的研究
Project/Area Number |
02670828
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
俣木 志朗 長崎大学, 歯学部, 助教授 (80157221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 詠子 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (10176612)
尾崎 美穂 長崎大学, 歯学部, 助手 (50191341)
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Keywords | 成熟期エナメル芽細胞 / リソゾ-ム性酵素 / カテプシンD / カテプシンE / クロロキン |
Research Abstract |
本研究の目的は、リソゾ-ムの機能を阻害する薬物として知られるクロロキンの成熟期エナメル芽細胞に及ぼす作用を実験薬理学的に検索するととともに、リソゾ-ム性酵素の一つで主要な細胞内アスパラギン酸蛋白質分解酵素であるカテプシンDおよびカテプシンEの成熟期エナメル芽細胞における局在に関して検索を行い、成熟期エナメル芽細胞におけるリソゾ-ム性酵素の機能を解明することである。平成2年度の研究計画はほぼ予定どおり行われたが、クロロキンの投与量および投与方法の決定に予想以上に多くの時間を費やした。これはクロロキンのin vivoにおける薬理作用に起因するものである。従来報告されているin vitroにおけるクロロキンのライソゾ-ムの機能阻害作用が、in vivoでは発現されにくく、1回投与では投与後24時間以内に成熟期エナメル芽細胞に著明な変化を認めることができなかった。そこで薬物の投与方法を1日1回の連日投与とし、最長48日連日投与による作用を検討した。その結果、成熟期エナメル芽細胞に出現する周期的形態変化に及ぼす作用は著明ではなかったが、詳細に観察すると成熟期初期に出現する1本目のSAの部分のGBHA染色性が低下している像が認められた。この所見はクロロキンの連続投与により成熟期の初期に見られるRAからSAへの形態的機能的変化に何らかの障害が起こっていることを示唆するものであり、その障害は成熟期エナメル芽細胞のライソゾ-ムの機能が阻害されたために生じたものであることが推察される。このように僅かながらクロロキンの作用を観察することが出来たが、作用発現までに長時間を要するという点が実験遂行上問題となる。今後は、より短時間で作用が発現できる実験系を試みる必要があろう。一方、カテプシンDおよびカテプシンEの分離、精製と両酵素に対する抗体の作製は予定どおり進められ、抗体の特異性も確認された。免疫組織化学的研究の基礎的検索も行われ、両酵素の局在が光学顕微鏡による観察で検出可能であることが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 坂井 英昭,俣木 志朗,加藤 有三,山本 健二: "赤血球の分化に伴うカテプシンEおよびカテプシンDの活性量変化と細胞内局在" 生化学. 62. 644 (1990)
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[Publications] 上野 詠子,俣木 志朗,加藤 有三,山本 健二: "赤血球膜カテプシンEの活性制御機構の解析" 生化学. 62. 957 (1990)
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[Publications] 坂井 英昭,尾崎 美穂,俣木 志朗,加藤 有三,山本 健二: "マウス白血病フレンド細胞におけるカテプシンEおよびカテプシンDの誘導ならびに細胞内局在化機構" 歯科基礎医学会雑誌. 32. 150 (1990)
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[Publications] 俣木 志朗,尾崎 美穂,上野 詠子,加藤 有三: "成熟期エナメル芽細胞におけるリソゾ-ム性酵素の機能に関する研究" 歯科基礎医学会雑誌.