1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670842
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Research Institution | The Nippon Dental University at Niigata |
Principal Investigator |
斎藤 英一 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (40120662)
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Keywords | シスタチンS / シスタチンD / 偽遺伝子 / 分子進化 / ホモロジ- / DNA塩基配列 / システインプロテア-ゼインヒビタ- / セリンプロテア-ゼインヒビタ- |
Research Abstract |
本年度は先にクロ-ニングした「シスタチン遺伝子ファミリ-」の第5および第6のメンバ-(CST4とCST5)を分析した。DNA塩基配列の解析結果は第5メンバ-(CST4)がシスタチンSの前駆体(141残基)をコ-ドすることを示した。遺伝子解析によって得られたアミノ酸配列を本研究において同定されたシスタチンS(121残基,完全長)のアミノ酸配列と比較することによって、シスタチンSのシグナルペプチドは20残基であると結論された。CST5の遺伝子解析はこの遺伝子が以下の理由(i)第1エクソン内に2個のフレ-ムシフト欠失が存在する。(ii)第2エクソンに未成熟停止コドンが存在する。(iii)第3エクソンのアクセプタ-スプライシングサイト付近に変異が存在するなどーによって「シスタチン偽遺伝子」であることを示唆した。 最近、スペインとスウェ-デンの共同研究グル-プによって一つのヒト遺伝子が単離同定された。この遺伝子はシスタチン様のアミノ酸配列をコ-ドすることから「シスタチンD」遺伝子と呼ばれたが、対応するポリペプチドは単離されていない。この遺伝子に対して『CST4』という遺伝子座位があてられているが、本研究におけるシスタチン遺伝子座位『CST4』と混同するので、将来「シスタチン遺伝子の命名法」に関する同意書を提案する予定である(交渉中)。シスタチンD遺伝子に対してはシスタチン遺伝子ファミリ-の第7番目の座位をあてがうことができよう。 本研究で得られたDNA塩基配列のデ-タ-をホモロジ-分析したところ、シスタチン遺伝子,キニノ-ゲン遺伝子,ボ-マンバ-ク型セリンプロテア-ゼインヒビタ-遺伝子は先祖を共有する可能性が示唆された。さらにこれらの遺伝子がリボヌクレア-ゼ遺伝子とも若干のホモロジ-を共有することがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 斎藤 英一,伊勢村 知子,真田 一男: "ヒト唾液タンパク質の分子遺伝学" 歯学. 78. 2-20 (1990)
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[Publications] Eiichi Saitoh,Satoko Isemura,Kazuo Sanada,Koji Ohnishi: "Cystatins of Family II are Harboring Two Domains which Retain Inhibitory Activities against the Proteinases." Biochemical Biophysical Research Communications. 175. 1070-1075 (1991)
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[Publications] Eiichi Saitoh,Satoko Isemura,Kazuo Sanada,Koji Ohnishi: "The Human Cystatin Gene Family:Cloning of Three Members and Evolutionary Relationship between Cystatins and BowmanーBirk Type Proteinase Inhibitors." Biomedica Biochimica Acta. 50. 599-605 (1991)
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[Publications] Satoko Isemura,Eiichi Saitoh,Kazuo Sanada,Kayoko Minakata: "Identification of Fullーsized Forms of Salivary(SーType)Cystatins(Cystatin SN,Cystatin SA,Cystatin S,and Two Phosphorylated Forms of Cystatin S)in Human Saliva and Determination of Phosphorylation Sites of Cystatin S." The Journal of Biochemistry. 110. 645-654 (1991)
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[Publications] Eiichi Saitoh,Satoko Isemura,Kazuo Sanada,Koji Ohnishi: "Characterization of Two Members(CST4 and CST5)of the Cystatin Gene Family and Molecular Evolution of Cystatin Genes." Agents and Action. (1992)
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[Publications] Eiichi Saitoh and Satoko Isemura: "Critical Reviews in Oral Biology & Medicine" CRC Press Inc.,Florida U.S.A., (1992)