1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670844
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
千葉 元丞 鶴見大学, 歯学部, 教授 (30064356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 志津代 鶴見大学, 歯学部, 助手 (80191229)
小松 浩一郎 鶴見大学, 歯学部, 講師 (60153665)
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Keywords | ラット切歯 / 萌出力 / 萌出率 / 組織圧 / 血圧 / 歯髄内液 / コロイド浸透圧 |
Research Abstract |
現在、無根歯の萌出力を生ずる原因の一つとして、組織圧が有力視されている。また、組織圧は血圧や組織液のコロイド浸透圧と密接な関係があることが知られている。そこで本年度はラット切歯萌出率と血圧或いは歯髄内液のコロイド浸透圧との間に関連性があるかどうかを調べるために、3種類の実験を行った。1.非観血的血圧測定装置を用い、正常ラットの収縮期血圧/平均血圧/拡張期血圧の測定を行った。得られた値はそれぞれ、156±9/124±7/109±6mmHg(12匹の平均±標準偏差)であった。次にウレタン(1.8g/kg)を皮下注射し、萌出率と血圧の変動を調べた。ウレタン投与後1日間の萌出率(190±108μm/day)は、投与前の値(1138±74μm/day)と比べ83%低下した。非観血的血圧測定はウレタン投与2時間後から困難となり、12匹中2匹から値が得られたにすぎなかった(115/79/60mmHg)。ウレタン投与1日後の値は117/92/79mmHg(3匹の平均)であり、投与前の値と比べ25〜45%低下した。2.別のラット3匹の非咬合下顎切歯より歯髄内液を採取し、そのコロイド浸透圧を測定した。得られた値は5.0〜14.3mmHgであり、血清(17mmHg)と比べ低い値を示した。3.別のラットを用い、非咬合下顎切歯の萌出率に及ぼす高張デキストラン溶液(20〜30%)の静脈内投与の影響を調べた。投与後6時間までの萌出率は生理食塩液を投与した場合と比べやや低い傾向を示したが、それ以降、殆ど違いは認められなかった。今回の実験では、切歯萌出率と血圧或いは歯髄内液コロイド浸透圧との関連性について明確な結論は得られなかった。また、非観血的血圧測定法は、血圧が著しく低下する場合には用いられないことが判明した。切歯萌出率の測定は写真法によっており、測定間隔が時間単位であるため短い時間内の変動を捉えることが難しい。そこで現在、非接触型変位計を用い麻酔下における切歯萌出率の連続的測定法を開発中である。
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