1990 Fiscal Year Annual Research Report
ポ-セレン修復物作製のためのアルミナ系耐火模型材の結合材について
Project/Area Number |
02670868
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
桑山 則彦 徳島大学, 歯学部, 教授 (60013827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今 政幸 徳島大学, 歯学部, 助手 (80116813)
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Keywords | 耐火模型材 / アルミナ / 酸化亜鉛 / 結合材 / 硬化反応 / 寸法変化 / 焼成 / 強さ |
Research Abstract |
ポ-セレンを支台歯模型材に取り付けたまま焼成するための耐火模型材の開発を試みているが、本研究ではアルカリ土類酸化物ーアルミナ系複合粉末に室温で硬化する結合材を用いた場合の反応や物性などの検討をおこなった。結合材にはリン酸水溶液、リン酸二水素アンモニウム、アルミナゾルの3種を使用した。しかし、リン酸二水素アンモニウムを用いると加熱時の収縮が、アルミナゾルの場合は硬化時の乾燥収縮が大きくなり、耐火模型材の結合材としては問題が生じた。またアルカリ土類酸化物は数種の使用を試みたが、結合材との組合せから基材粉末には酸化亜鉛ーアルミナ系配合物を、結合材にはリン酸水溶液を用いた結果を中心に記述する。等モル比の酸化亜鉛ーアルミナ複合粉末をリン酸水溶液で練和した場合、濃度30〜50%では反応が激しいため、短時間で硬化したが、高濃度や低濃度の場合は適度な硬化時間となった。硬化体の昇温下における寸法変化を調べた結果、リン酸の濃度が高くなるにつれて反応膨張が低下する傾向がみられた。しかし、濃度15%までは1300℃焼成でも焼成体は原形より小さくならないことがわかった。また濃度60%以上ではガ-ナイトの生成による反応膨張はみられなかった。硬化体および焼成体の強さは高濃度の練和液を用いた方が高くなる傾向を示した。リン酸濃度10%の焼成体は6MPaの曲げ強さが得られた。硬さを微小硬度計で調べた結果、硬化体の硬さは普通石膏よりも高く、硬石膏より低い値を示した。また焼成体の硬さは硬化体より高く、ビッカ-ス硬度(Hv)約40を得ることができた。以上の結果から、結合材の濃度や配合比を調整することにより原形と寸法差の生じず、しかも充分な硬さと強さを有する耐火模型材が可能であることがわかった。本研究については第16回日本歯科理工学会(平成2年10月)で内容の一部を口頭発表したが、詳細については近日中に論文公表する予定である。
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