1991 Fiscal Year Annual Research Report
口腔悪性腫瘍におけるras遺伝子の点突然変異の種類と頻度の検討
Project/Area Number |
02670886
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高原 正明 千葉大学, 医学部・歯科口腔外科学, 講師 (90143297)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹沢 秀樹 千葉大学, 医学部・歯科口腔外科学, 助手 (50236775)
金沢 春幸 千葉大学, 医学部・歯科口腔外科学, 講師 (80169549)
佐藤 研一 千葉大学, 医学部・歯科口腔外科学, 教授 (40009139)
|
Keywords | ras遺伝子 / 点突然変異 / 口腔悪性腫瘍 |
Research Abstract |
従来、ras遺伝子の点突然変異による活性化について、様々な領域に関して検討されてきた。しかし、口腔領域に関しては、実際の臨床材料についてras遺伝子の活性化機序である点突然変異に関してまで調べているものは、少数しか存在しない。そこで、以下の実験を行った。 1)口腔悪性腫瘍(5種類の細胞株と3種類の組織)よりDNA,RNAを抽出し、サザン・ブロット法ならびにノ-ザン・ブロット法でras遺伝子(N,H,K)の増幅・発現状態を調べた。 2)DNA合成機でPCR法に用いる12種類のprimerを合成した。 3)5種類の細胞と3種類の組織のDNAを用いてPCR法により、ras遺伝子(N,H,K)の増幅、クロ-ニング、シ-ケンスを行い、ras遺伝子(N,H,K)の点突然変異の種類と頻度の検索を行った。 以下の結果を得た。 1)口腔悪性腫瘍細胞株5種類中3種類にras遺伝子のDNA幅増を認めた(60%)。 2)口腔亜性腫瘍細胞株5種類中3種類にras遺伝子のRNA発現増強を認めた(60%)。 3)口腔悪性腫瘍細胞株1種類において、同時に2種類のras遺伝子のDNA幅増およびRNA発現増強を認めた。 4)口腔悪性腫瘍組織3例すべてにおいて、いずれかのras遺伝子のDNA幅増およびRNA発現増強を認めた。 5)ras遺伝子の点突然変異は口腔悪性腫瘍8例中2例に認められた(25%)。 Haーras遺伝子およびKiーras遺伝子の12番の核酸の点突然変異であったが、これらはアミノ酸の変化を伴っていた(Glycine→Valine)。 以上より、ras遺伝子は口腔悪性腫瘍において重要なoncogeneであること、また、点突然変異は25%程度の頻度であることが判明した。
|