1990 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性嚢胞における上皮細胞の分化,増殖及び免疫機構への関与に関する組織学的研究
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02670893
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 一郎 新潟大学, 歯学部, 助手 (80179192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 克也 新潟大学, 歯学部, 助手 (20213754)
中島 民雄 新潟大学, 歯学部, 教授 (10014010)
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Keywords | 歯原性嚢胞 / 顎骨嚢胞 / 嚢胞上皮 / 終末分化 / サイトケラチン / TGFーα / EGF / EGFレセプタ |
Research Abstract |
歯原性嚢胞の組織発生を明らかにする目的で、嚢胞上皮の細胞分化、増殖、免疫機構への関与、及びそれら相互の関連につき、初年度は免疫組織化学的手法を用いて検討した。分化マ-カ-としては、各種のサイトケラチン(Nos.1,2,3,4,7,8,10,11,12,13,18,19)、Filaggrin、Involucrin(Inv.)に対する抗体、増殖マ-カ-としては、EGF、EGFレセプタ(EGFーR)、TGFーα、cーerbBー2に対する抗体を用いた。新鮮外科材料より未固定凍結切片を作成し、上記各種抗体につきABC法にて染色を行った。材料として用いた嚢胞は、歯根嚢胞(RC)、濾胞性歯嚢胞(FDC)、歯原性角化嚢胞(OKC)、また対比として正常口腔粘膜、皮膚、術後性上顎嚢胞、エナメル上皮腫についても検索した。分化マ-カ-による検索では、FDCでは、口腔粘膜では基底層にのみ発現するNo.19が全層に発現し、更に口腔粘膜には発現しないNos.8,18も強く発現しておりSIMPLE EPITHELIAに近い性格を示した。また、Inv.が陰性であるにも関わらず、口腔粘膜の角化層に発現するNos.1,3,10,12が上層に発現しており、FDCの嚢胞上皮は独特の終末分化過程をとっていることが示唆された。OKCでは、Inv.、Nos.1,3,10,12陽性であり、口腔粘膜の角化と同様のパタ-ンを示すが、FDCと同様にSIMPLE EPITHELIAのマ-カ-も同時に発現しており、これは由来が歯原性である上皮に共通の性格であるのかもしれない。RCは炎症の修飾が大きいためか、一定の発現パタ-ンが得られず、次年度も症例を追加し更に検討したい。次に、増殖マ-カ-については、各嚢胞ともEGFの発現を認めない一方、主に基底細胞にTGFーαとEGFーRの発現を認め、TGFーαによる上皮増殖機構が考えられたが、この点に関しては次年度にILー1,6の発現をみる予定であるのでその結果も併せて検討したい。一方、cーerbBー2の発現は何れの嚢胞にも認められなかった。
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