1992 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞と破骨細胞の細胞間相互作用に及ぼす矯正力の影響
Project/Area Number |
02670923
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河田 照茂 徳島大学, 歯学部, 教授 (40029971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瑞木 裕史 徳島大学, 歯学部, 助手 (00211318)
日浦 賢治 徳島大学, 歯学部, 講師 (20228696)
住谷 光治 徳島大学, 歯学部, 講師 (30206586)
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Keywords | 骨芽細胞 / 破骨細胞 / MC3T3-E1 / 矯正力 / 骨吸収 / 骨形成 / 破骨細胞形成系 / 破骨細胞形成促進因子 |
Research Abstract |
この実験の目的は矯正学的歯牙移動時に見られる骨代謝において、主要な役割を示すと考えられている破骨細胞と骨芽細胞の細胞間相互作用を明らかにし矯正力の作用機構を解明するものである。 本年度の研究計画は次の通りである。 1.矯正力負荷装置中で培養した骨芽細胞の培養上清を用いて、矯正力を負荷した群と、未処理群による破骨細胞形成に対する各々の影響を検討する。また、矯正力負荷時の骨芽細胞から産生される破骨細胞形成調節因子の性質、量がどのように変化するかを検討する。 2.作用する矯正力の種類(間欠的、持続的)、時間及び強さを変化させ、骨芽細胞の産生する因子がどのように変化するかを調べ、最適な矯正力について検討する。 結果 矯正力を負荷した群では、経時的に培養上清の破骨細胞形成作用に促進が見られた。この効果は、6時間後より現われ24時間で平衡状態になった。この時、培養上清中に産生された蛋白量も、経時的に増加した。また破骨細胞形成促進効果は、シクロヘキシミドの添加により消失した。これらのことから、骨芽細胞を介する破骨細胞形成促進効果は、蛋白性のものによることが示唆された。伸展力負荷装置の膜面積を最大17%まで増加して、骨芽細胞による破骨細胞形成促進効果と負荷伸展力との相関関係を検討した結果、伸展力に依存して破骨細胞形成が促進した。 以上の結果より矯正力を負荷した骨芽細胞は、液性因子(蛋白性)を介して破骨細胞形成を調節することが明らかになった。よって、当初計画していた計画はほぼ達成できたと思われる。現在、骨芽細胞に定量化した矯正力を負荷するためにコラーゲンゲル中で細胞を3次元的に培養し、細胞全体に均一な力を作用させるための独自の矯正力負荷装置を検討中である。
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