上顎骨前・後方移動へのCorticotomyの効果について

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02670934
• Research Institution: Matsumoto Dental University
• Principal Investigator: 出口 敏雄 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (30139852)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吉川 仁育 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (20139885) ; 松田 泰明 松本歯科大学, 歯学部, 講師 ; 西本 雅弘 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80164606)
• Keywords: 顎整形力 / 上顎前突 / 上顎骨後方運動 / Corticotomy

Research Abstract

Corticotomyに関しては従来、臨床的に種々の方法が報告されている。われわれは数年来、Corticotomyを併用した顎整形力を用い、上顎骨全体の前方移動および後方移動についてその方法や作用機序について研究を重ねてきた。平成2年度までに、上顎前突を想定した上顎骨の後方移動において上顎前方歯槽部のみにcorticotomyを施し、手術法の違いによる効果の差について組織学的検索をし、その結果、側頭頬骨、前頭頬骨、頬骨上顎の各縫合部の順で組織学的変化が著しかったことを確認した。平成3年度は従来の研究をもとにストレインゲ-ジ法を用いた力学的検討を行った。材料はニホンザル頭蓋骨を用い、Corticotomy前後のひずみ試験の結果と、さきに得られた組織学的検索とに一致した所見がみらるかどうかを比較検討した。顔面頭蓋に生じたひずみを測定するため、2種類の単軸型ゲ-ジ(KFCー2ーC1ー11L100,120.0Ω,KFCー1ーC1ー11L30,120.0Ω,共和電業製)を使用した。なおゲ-ジは、ヘッドギア-による牽引方向に一致しひずみの測定が可能となるような方向とした。材料としてニホンザル頭蓋骨(現有3個)を用いた。1個はダミ-ゲ-ジとし、他の2個は前の実験と同様に上顎骨全体を後方移動するものと、上顎骨前方のみを後方移動するものに各々1個ずつ使用した。そして本実験の対照群と同様、片側400gの負荷をかけて、ひずみの測定を行った。その後、ひずみが十分に回復したのを確認し、今度は本実験群と同様に各々の方法でCorticotomyを行い計測した。その結果上顎骨全体を後方移動する場合には前頭頬骨、頬骨上顎、側頭頬骨縫合でおおきなひずみの変化が認められたが、上顎前方のみを移動する場合にはひずみの変化は小さかった。すなわち、上顎前方のみを移動する場合には頬骨上顎縫合部ではほとんどひずみの変化は認められなかった。