1990 Fiscal Year Annual Research Report
ス-パ-オキサイドによる遺伝子損傷とその有機化学的解析
Project/Area Number |
02670944
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長野 哲雄 東京大学, 薬学部, 助教授 (20111552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 恒彦 東京大学, 薬学部, 助手 (50173159)
増野 匡彦 東京大学, 薬学部, 助手 (90165697)
太田 茂 東京大学, 薬学部, 助手 (60160503)
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Keywords | ス-パ-オキシド / 活性酸素 / 酸化反応 / 過酸化水素 / ハ-バ-ワイス反応 / 核酸損傷 / 遺伝子障害 / ハイドロパ-オキシラジカル |
Research Abstract |
遺伝子の酸化的障害の大部分は活性酸素種によると考えられている.活性酸素種とは、酸素の一電子還元体であるス-パ-オキシド,ハイドロキシラジかル,過酸化水素,一重項酸素,過酸化物,金属酸素錯体,などを指すが,これらの中でもス-パ-オキシドは他の活性酸素種生成過程において,源に位置しており,最重要の反応種といえる.そこで本研究では普遍的に常時細胞内で生成しているこのス-パ-オキシドの反応性を明らかにすることを目的として実験を行った. 従来、活性酸素による毒性発現のほとんどが,鉄触媒によるハ-バ-ワイス反応から生成するハイドロキシラジカルよると考えられてきた.本反応は鉄が存在しない場合には進行しないこと,ハイドロキシラジカルが極端に不安定で寿命が短いこと,などから最終活性種として疑問視する報告もある.私どもは,本研究によりス-パ-オキシドと過酸化水素の反応によりハイドロキシラジカルではなく,ハイドロパ-オキシアニオンとハイドロパ-オキシラジカルが生成することを明らかにした.生成したハイドロパ-オキシアニオンはエノン類を高収率でエポキシ化した.またス-パ-オキシドは一電子還元剤として反応性のみならず、塩基としての性質も有し,イミダゾ-ル,アデニンなどのNH基からプロトンを引き抜きハイドロパ-オキシラジカルを生成することも明らかにした.これらの結果はス-パ-オキシドが二次的に高い酸化能を有する反応種になることを示しており、興味深い結果である.また私どもはス-パ-オキシドがヌクレオチドから核酸塩基を切り出すことも見出した.この反応はヌクレオシドでは極端に低収率となり、リン酸エステル類のこの反応への関与が示唆された。添加剤としてある種のリン酸エステルを存在させることによりヌクレオチドからも核酸塩基の遊離がみられた.これらの結果は遺伝子損傷において非常に有用な知見である.
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Tetsuo Nagano: "Cooxidation Reactions during Oxidations of Superoxide with Polyhalides,CO_2,Phosphates and Acyl ldalides" J.Am.Chem.Soc.112. 3529-3535 (1990)
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[Publications] Tohru Takabatake: "Toxicities of Dicyanobenzofurazans with Formation of Superoxide in Escherichia coli" Chem.Pharm.Bull.38. 128-132 (1990)
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[Publications] Tomohisa Hirano: "Novel Superoxide Dismutase Mimics" J.PharmacobioーDyn.13. S-8 (1990)
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[Publications] Tomohisa Hirano: "Efficient Superoxide Dismutase Activities of Novel Iron Complexes" J.PharmacobioーDyn.13. S-143 (1990)
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[Publications] 長野 哲雄: "ス-パ-オキシドディスムタ-ゼの活性中心構造とス-パ-オキシドディスムタ-ゼ作用を有する金属錯体" 生化学. 62. 447-451 (1990)
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[Publications] 長野 哲雄: "抗体触媒" 有機合成化学協会誌. 48. 482-493 (1990)
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[Publications] 長野 哲雄: "Catalytic Antibody研究にどう取り組むか" 化学. 45. 831-833 (1990)
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[Publications] Tetsuo Nagano: "Toxicity of Singlet OxygenーEffect of Singlet Oxygen Thermolytically generated from Endoperoxides on E.coliー"
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[Publications] Tohru Takabatake: "Difference in Toxicity between 4,7ーDicyanobenzofurazan and Paraquat by Intracellular Production of Superoxide"
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[Publications] Tetsuo Nagano: "Novel Iron Complexes Behave Like Superoxide Dismutase in vivo" Free Rad.Res.Comms.
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[Publications] 長野 哲雄: "活性酸素生成と制御および活性発現に関する生物有機化学的研究" 薬学雑誌.
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[Publications] 平野 智久: "SOD様物質" Pharma Medica.
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[Publications] 平野 智久: "ス-パ-オキシド不均化活性を有する金属錯体の開発と問題点" Organometallic News.
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[Publications] 長野 哲雄: "フリ-ラジカルとくすり" 廣川書店,
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[Publications] 長野 哲雄: "フリ-ラジカルと病態ー疾患モデルからベッドサイドへー" 学会出版センタ-,
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[Publications] Tetsuo Nagano: "Organic Peroxides" John Wiley & Sons.Ltd,