1990 Fiscal Year Annual Research Report
分子内[2+2]環状付加反応による生理活性アルカロイドの合成研究
Project/Area Number |
02670956
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宍戸 宏造 徳島大学, 薬学部, 助教授 (20006349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊岡 康平 徳島大学, 薬学部, 助手 (90145011)
渋谷 雅之 徳島大学, 薬学部, 教授 (40027066)
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Keywords | 分子内環状付加反応 / カラバル豆アルロイド / フィゾベニン / フィゾスチグミン / インド-ルアルカロイド / アルツハイマ-型痴呆症 / ビンドリン / アセチルコリンエステラ-ゼ阻害 |
Research Abstract |
興味ある生理活性を示すアルカロイドを効率良く合成するための新しい方法論の確立は,医薬品の開発に寄与出来るばかりではなく、合成化学的に大きな意義がある。今回、著者はカルバモイルケテンーアルケンの分子内[2+2]付加環化反応を開発し、芳香環を含むアザビシクロ[3.2.0]ヘプタノン誘導体の効率的な新合成法を確立した。(Scheme 1)本反応は、入手が容易な原料より、簡便な操作で種々の置換基(R1ーR4)を有するアザビシクロ[3.2.0]ヘプタノン誘導体を収率良く合成出来る、逆めて有用な手法である。著者はさらに、本反応の適用範囲の拡大を目的に脂肪族基質、さらにアザビシクロ[4.2.0]オクタノンを与える系についても検討を加えたが、満足すべき結果を得ることが出来なかった。次に、この反応をアセチルコリンエステラ-ゼ阻害活性、鎮痛作用、さらには最近アルツハイマ-型痴呆症にも効果があるといわれているカラバル豆アルカロイド、フィゾベニン及びフィゾスチグミン(Fig.1)の合成に適用し、両アルカロイドの短工程新規全合成を達成した。さらに、この合成をエナンチオ選択的に行なう目的で、カルバメ-ト部にキラリティ-を導入した化合物について[2+2]付加環化反応を試みたが不成功に終わり、今後の課題として残された。最後に、抗腫瘍性ダイメリックインド-ルアルカロイド、ビンブラスチンの構成アルカロイドであるビンドリンの合成に本反応を応用することを試みた。そして、その四環性ケトン中間体の炭素アナログ(Fig.2)の効率の良い構築法を確立し、ビンドリンの全合成に対する展望を開くことが出来た。以上述べたように、今回著者は、新しいタイプの付加環化反応を開発し、その適用限界の見極めを行なうと共に、生理活性アルカロイド合成への応用を行ない、この手法の合成化学的有用性を実証した。今後、この手法は広範囲に適用される可能性を秘めており、さらなる展開が期待される。
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Research Products
(1 results)