1990 Fiscal Year Annual Research Report
拡散理論に基づく薬物経皮吸収モデルの確立と吸収促進剤の作用機構解析
Project/Area Number |
02670977
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 京都大学, 薬学部, 助教授 (20135594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 昌 京都大学, 薬学部, 助手 (00166779)
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Keywords | 経皮吸収 / 皮膚モデル / 拡散理論 / 高速ラプラス逆変換 / 吸収促進剤 / 皮膚透過 / 脂溶性 / in vitro拡散実験 |
Research Abstract |
本研究は、薬物の皮膚透過現象を、物理化学に基づき拡散理論を基本に統一的に解析することを目的としたもので、研究の具体的内容は、経皮吸収のモデル解析法の開発と、これを用いた実験結果の解析に分けられる。本年度は、このうち前者に重点がおかれ、皮膚の構造および薬物透過経路に関して既に得られている情報に基づいて、経皮吸収に対する理論解析に必要十分な情報を与える皮膚拡散モデルを構築した。このモデルでは皮膚を角質層とその他の2層から成るものとして構築し、さらに角質層を脂質ル-トと水孔ル-トの並列モデルで考え、最後に血流による運び去り過程を組み込んで、in vivo状態に対応するモデルを完成させた。次いで、モデルに基づいて、薬物の皮膚透過挙動(薬物累積透過量,皮膚内量,基剤中残存量など)を表す解析式を、Fickの第2式を用いて誘導し、これに対する時間次元での解析式誘導が因難なので、ラプラス次元での解析式を誘導し、高速ラプラス逆変換アルゴリズムFILTと結合させることにより解析を行った。こうして開発した皮膚拡散モデルを用い、脂溶性の異なる各種薬物に対してコンピュ-タ・シミュレ-ションを行った結果、finite系では薬物の一定時間までの皮膚透過量と脂溶性の間にベル型の関係が生まれることが示され、これはモルモット摘出皮膚を用いたin vitro拡散実験において、実験的に確認された。また実験結果の解析より、角質層や生きた表皮/真皮膚の厚さ等、生理学的特性に関するパラメ-タを得た。以上の結果より、皮膚透過モデルの構築とその内容に対する実験的確認が行われたので、今後は本実験解析系を用いて、経皮吸収促進剤の作用機構に関する検討を進める予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hirokazu Okamoto: "Percutaneous penetration of acyclovir through excised hairless mouse and rat skin:Effect of vehicle and percutaceous penetration enhancer." Pharmaceutical Research. 7. 64-68 (1990)
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[Publications] Hirokazu Okamoto: "Effect of lーalkylー or lーalkenylazacycloalkanone derivatives on the penetration of drugs with different lipophilicities through guineapig skin." Journal of Pharmaceutical Sciences. 89. 39-45 (1991)
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[Publications] Fumiyoshi Yamashita: "Pharmacokinetic modeling for skin penetration of drugs with enhancers." Proceeding of the International Symposium on Controlled Release of Bioactive Materials. 17. 405-406 (1990)