1990 Fiscal Year Annual Research Report
マクロ電極に近接したマイクロ電極の電気化学的挙動に関する研究
Project/Area Number |
02670979
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 秀信 大阪大学, 薬学部, 助教授 (90028845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 茂子 大阪大学, 薬学部, 助手 (00028854)
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Keywords | ミクローマクロ複合電極 / ボルタンメトリ- / ド-パミン / 電気分析 |
Research Abstract |
ミクロ電極に近接してマクロ電極が位置するような複合電極においては,マクロ電極に印可する電位によって,ミクロ電極表面の溶液環境が制御し得るという予測に基づいて研究を行い,以下の結果を得た. 1.複合電極の製作:本研究の基本となる上記予測の妥当性を検証するため,まず,約75μm離れて平行に存在する二枚のグラッシ-カ-ボン板(マクロ電極;表面積0.08cm^2)の間に,直径25μmの白金線(ミクロ電極)が位置するような複合電極を約30本試作した.これらの内,ミクローマクロ電極間の距離が25μm以下であるような電極のみが,次項で述べる良好な電気化学的特性を示すことが明かとなった. 2.複合電極の電気化学的特性:フェロシアンイオン[Fe(II)]を含む水溶液中において,マクロ電極の電位をFe(II)の酸化電位よりも十分正の値に保った場合,ミクロ電極表面での同イオンの濃度がほぼゼロとなるような状況が実現された.即ち,この条件下でのミクロ電極によるボルタムメトリ-では,Fe(II)のFe(III)への酸化波はほとんど現れず,Fe(III)の還元波が主として観測された.このことは,ミクロ電極がマクロ電極の拡散層内にほぼ位置しており,作製した複合電極が研究目的にかなったものであることを示している. 3.アスコルビン酸(AA)共存下でのド-パミン(DA)の定量:神経伝達物質であるカテコ-ルアミン類の脳内での測定では,通常,共存するAAが防害物質となる.作製した複合電極をAAーDA系に応用したところ,マクロ電極を+0.40Vに印可することにより,AAとDAの酸化電位の差が僅か100mVであるにもかゝわらずミクロ電極表面からAAが選択的に除去された.この条件下でミクロ電極による微分パルスボルタムメトリ-を行うことにより,100mMのAA共存下0.5mM以上のDAの定量が可能であった.
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