Research Abstract |
本研究では,実用的な人工固体酸素の開発を目的として,平成4年度には,アスコルビン酸オキシダーゼやウリカーゼなどの酸素様機能を検討し,次に記載した結果を得た. 1.MP固定化担体のアスコルビン酸(ASA)酸化触媒機能:種々の金属テトラキス(スルホフェニル)ポルフィン担持イオン交換樹脂(MTPP Sr)を用いてASA酸化触媒機能を検討した.その結果,中心金属として,コバルトを用いた場合に最も活性が高く,ついで鉄,マンガン,銅の順となった.さらに,至適条件を検討した結果,中性付近,35℃以上で高い活性を示すことがわかった.また,反応生成物は,マススペクトルなどから,過酸化水素,酸化型ASA及び2,3‐diketogulonic acidであることがわかった.さらに,共鳴ラマンスペスペクトルの検討から,担体表面のCoTPPS_rは,Co^<3+>〓Co^<2+>〓Co^<3+>の変化に基づき,触媒機能を示すことがわかった. 2.その分析学的応用:ASAは,グルコースなどの血清成分の定量を妨害する.そこで,この負の妨害を避けるために,試料に共存するASAをMTPPS_rなどで除去することを試みた.その結果,CoTPPS_rなどがこの妨害を除去するのに有用であることがわかった. 3.ウリカーゼ機能とその応用:マンガン,鉄やコバルトなどを含有した金属ポルフィリン錯体を担持したイオン交換樹脂のウリカーゼ様機能(尿酸の酸化反応)を検討した.そのこの結果,Mn^<3+>-テトラキス(1-メチルピリジニウム-4-イル)ポルフィン担持イオン交換樹脂が,最もウリカーゼ機能が高いことがわかった.さらに,これを固定化ウリカーゼの代用として用いて,尿酸の定量を試みたところ,代用として利用できることが分かった.また,ウリカーゼ機能の発現は,ASAの場合と同様であることもわかった.
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