1990 Fiscal Year Annual Research Report
組換えDNA法で得られる沈殿した酵素を正しくrefoldするための誘導物質
Project/Area Number |
02670983
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
酒井 朝也 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (00080169)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗本 英治 名古屋市立大学, 薬学部, 助手
黒田 良孝 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (40080204)
野原 大輔 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (60080214)
|
Keywords | タンパク質三次元構造 / タンパク質の変性 / タンパク質の沈殿 / リフォ-ルディング / アンフォ-ルディング |
Research Abstract |
1 6Mグアニジン塩酸塩(Gdn・HCl)または8M尿素で変性した卵白リゾチ-ム(Lyzm)を希釈によりrefoldさせた。希釈の程度がrefoldingに及ぼす効果をCD及び活性で評価したところ、Gdn・HClと尿素で大きい差異が現れた。このGdn・HClと尿素の差はイオン性の有無にあり、それがCDでみたLyzmの高次構造の変化と、活性に影響を及ぼしていることがわかったので報告する。 2 6MGdn・HClまたは8M尿素を含む50mMリン酸buffer(pH6.2)中で濃度約3×10^<ー5>MのLyzmを室温で変性させ、約20〜300倍に希釈してrefoldさせた。活性は基質としてMicrococcus lysodeikticus 懸濁液を用いる通常の方法で測定しassay系中のLyzm濃度は10^<ー8>〜10^<ー9>Mの範囲とした。 3 CD的にみたとき、6MGdn・HClを薄めていくと4M〜3M間でrefoldingが進み、この過程は可逆的であった。活性で評価すると、希釈の最終段階であるassay系中濃度でGdn・HClが0.02M以下の時100%refoldした。逆に0.3M以上では0%であった。一方、8M尿素ではCD的にみて変性はほとんど進行していないことが認められた。活性で評価すると、assay系中に尿素を加え8Mにした場合、nativeなLyzmを加えても、8M尿素で変性したLyzmを加えても共に50〜70%程度の残存活性があった。またassay系中の尿素濃度2M以下では100%の活性を示した。Gdn・HClの場合に極めて低い濃度のGdn・HClで活性が低下したことは、Gdn・HClの解離によるイオン強度の増加が原因であると考えられ、定量的にも文献^<1)>と一致した。イオン強度の増加による活性低下がLyzm分子側の影響によるものか、あるいは基質側の影響によるものかは議論のあるところであるが、いずれにしてもGdn・HClによる変性からのrefolding操作によってGdn・HCl濃度が3M以下で活性低下が認められたとしてもLyzmは完全に復元している可能性があることを示している。1)R.C.Davies et al.,Biochim.Biophys.Acta,178,294ー305(1969).
|