1990 Fiscal Year Annual Research Report
腸内嫌気性細菌バクテロイデスにおける遺伝子の重複と発現
Project/Area Number |
02670987
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 勇 北海道大学, 薬学部, 助手 (50113642)
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Keywords | Bacteroides / グルタミン酸脱水素酵素 / gdh遺伝子 |
Research Abstract |
人の腸内嫌気性細菌Bacteroides fragilisのグルタミン酸脱水素酵素は細胞の全蛋白質の4ー8%を占める。大量の蛋白合成の機構を解明するために染色体DNAよりグルタミン酸脱水素酵素をコ-ドする遺伝子ーgdhをクロ-ン化した。 ベクタ-プラスミドpUC118に制限酵素EcoOR処理で得られた5.7キロ塩基対(Kbp)を組み込んだプラスミドpJ10はグルタミン酸脱水素酵素のNAD依存活性を大腸菌に与えた。さらにpJ10をEcoRIとPstIで切断して得た0.8,1.2,1.5,2.2kbpの断片をpUC118に組み込んで各々pJ10ーP1,pJ10ーPE2,pJ10ーPE3,pJ10ーP4を作成した。NADH依存性のグルタミン酸脱水素酵素活性が前者3つのプラスミドによって与えられた。 研究補助金で購入した超音波破砕機(Tomy UD200)を用いてpJ10ーPE3で形質転換した大腸菌を破砕し、SDS電気泳動した蛋白染色像から精製酵素と同じ分子量(4.8kDa)の蛋白を検出した。しかし、生産量は著しくなかった。これについてはDNAの組み込む範囲をもう少し広くすることを検討している。 5.7kbpの挿入DNA断片を種々の制限酵素で切断し、制限酵素地図を作成した。PstI,KpnIで各3カ所、NsiIで2カ所、HindIII,SphIで各1カ所切断され、BamHI,SacI,XhoI,SmaI,SalI,ApaIでは切断されなかった。今のところ、グルタミン酸脱水素酵素活性を与えた3つのプラスミドの間に共通の制限酵素部位は見いだされていない。 プラスミドpJ10の塩基配列の約2kbpを決め、1つの翻訳領域を見いだした。これがグルタミン酸脱水素酵素のサブユニットをコ-ドするか否かを明らかにするために、グルタミン酸脱水素酵素の精製を行い、現在、N末端領域のアミノ酸配列の決定に向けて準備を進めている。
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