1991 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量GTP結合蛋白質によるリンパ球ホスホリパ-ゼC活性の制御とその生理的意義
Project/Area Number |
02670990
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 聰 東京大学, 薬学部, 助教授 (40092283)
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Keywords | リンパ球活性化 / 低分子量GTP結合蛋白質 / ホスホリパ-ゼC / ボツリヌスADPーリボシルトランスフェラ-ゼ / T細胞抗原受容体 / MRL / lprマウス |
Research Abstract |
牛胸腺リンパ球でその存在を見出したイノシト-ルリン脂質特異的ホスホリパ-ゼC(PLC)活性増強効果を有する低分子量GTP結合蛋白質(G21K)の生理的役割の解析をさらに進め以下のような成果を得た。 1.G21KのマウスT細胞抗原受容体(TCR)/CD3複合体への連関 マウスT細胞のCD3ε鎖に対するモノクロ-ナル抗体145ー2Cllを用いアフィニティ-カラムを作製した。可溶化したマウス胸腺細胞膜蛋白質をこのカラムにかけ吸着画分(TCR/CD3複合体)を得たところ、この画分には強いGTP結合活性が存在した。この画分に存在するG蛋白質はボツリヌス酵素によりADPーリボシル化をうけること、二次元電気泳動における移動位置がG21Kと一致したことからG21Kと考えられた。以上の結果はTCR/CD3を介したT細胞の活性化にG21Kが関与していることを示唆するものであり、G21Kの生理的重要性を明らかにしている。 2.自己免疫疾患マウス(MRL/lpr)におけるG21K量の減少とConA反応性 MRL/lprマウスT細胞において、その対照マウス(MRL/t)T細胞よりもConA受容体と連関した低分子量G蛋白質が少ないことを発見した。このG蛋白質はボツリヌスADP-リボシルトランスフェラ-ゼの基質となること、ゲルロ過で推定された分子量が約25KであることからG21Kであると考えられた。一方MRL/lpr T細胞全体におけるボツリヌス酵素基質量がMRL/t T細胞に比べ少なかったことから細胞レベルでのG21Kの減少がConA受容体と連関するG21Kの減少につながると考えられた。MRL/lpr T細胞はConA反応性が低くイノシト-ルリン脂質代謝亢進もほとんどみられないが、ConAと受容 体、G蛋白質とPLCの連関は正常であり受容体とG蛋白質の連関に異常のあることが推定されている。従って、本研究の結果は、G21Kの減少がMRL/lpr T細胞におけるイノシト-ルリン脂質代謝亢進異常と関わっていることを推測させる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Higuchi: "TNFーmediated cytotoxicity.Importance of intracellular cGMP level for determining TNFーsensitivity." Molecular Immumology. 28. 1039-1044 (1991)
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[Publications] 豊島 聡: "サイトカインネットワ-クと免疫調節" ファルマシア. 27. 323-328 (1991)
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[Publications] 豊島 聡: "各種細胞における細胞内情法伝達系の異常ーリンパ球" Clinical Neuroscience. 9. 870-872 (1991)
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[Publications] 豊島 聰: "ホスホリパ-ゼCの活性化とG蛋白質" 蛋白質核酸酵素. 36. 280-289 (1991)