1990 Fiscal Year Annual Research Report
血清脂質改善薬による高度不飽和脂肪酸生合成の促進とその生理的意義
Project/Area Number |
02670993
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
川嶋 洋一 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (80126515)
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Keywords | 血清脂質改善薬 / クロフィブラ-ト / 高度不飽和脂肪酸 / 脂肪酸不飽和化酵素 / リン脂質アシル基組成 / ω6系列脂肪酸 / ペルオキシゾ-ム増殖剤 |
Research Abstract |
1.当初,肝細胞上清中に存在すると予想していた△6脂肪酸不飽和化反応促進因子は,この反応生成物とクロマトで類似した挙動は示すが,全く異なる生成物を作り出す酵素であることが明らかになった。そのため,この副反応を完全に排除して△6脂肪酸不飽和化活性を測定する系を確立した。 2.新しい測定系を用いて△6脂肪酸不飽和化反応促進因子を検索し,これがミクロソ-ムにゆるく結合していることを確認した。クロフィブラ-ト(CPIB)を投与してもこの促進因子量は変化せず,不飽和化酵素自体の増加がこの酵素活性上昇の原因であることが明らかとなった。 3.〔 ^3H〕グリセロ-ル,〔 ^<14>C〕オレイン酸,〔 ^<14>C〕リノ-ル酸及び〔 ^<14>C〕アラキドン酸をラットに投与し,肝臓でのグリセロ脂質への取り込みに対するCPIBの影響を検討した。CPIBを投与すると,トリアシルグリセロ-ルへのこれらの標識前駆体の取り込みが減少し,リン脂質,特にホスファチジルコリン(PC)への取り込みが増加した。中でも〔 ^<14>C〕リノ-ル酸は誘導されたリゾレシチンアシルトランスフェラ-ゼによってPCへ取り込まれていることが確認できた。 4.食餌中の脂肪酸をリノ-ル酸からαーリノレン酸を主とするものに替えたところ,肝臓のPC及びホスファチジルエタノ-ルアミン(PE)中のエイコサペンタエン酸などのω3脂肪酸の割合が著明に増加した。このラットにCPIBを投与すると,アラキドン酸などのω6脂肪はあまり減少せず,ω3脂肪酸が著しく減少した。その結果,ω6/ω3比は,PCで0.76から2.82へ,また,PEで0.39から1.44へと激しく変動した。
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