1991 Fiscal Year Annual Research Report
血清脂質改善薬による高度不飽和脂肪酸生合成の促進とその生理的意義
Project/Area Number |
02670993
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
川嶋 洋一 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (80126515)
|
Keywords | 血清脂質改善薬 / クロフィブリン酸 / 高度不飽和脂肪酸 / ホスファチジルコリン / 分子種 / 生合成 |
Research Abstract |
(1)雄性ラットにクロフィブリン酸を投与すると血清のホスファチジルコリン(PC)とコレステロ-ルエステル中のアラキドン酸(20:4ω6)は著しく減少した。この現象は若いラットに比べると26〜27週齢のラットでより顕著であった。血清中の20:4ω6の減少の主たる原因は、クロフィブリン酸の投与で肝臓中の20:4ω6を含むPC、特にステアリン酸ーアラキドン酸(18:0ー20:4ω6)分子種の減少と考えられる。この血清中の20:4ω6の減少は、腎臓に波及して、腎臓中の20:4ω6を含むPCの減少を引き起こした。 (2)クロフィブリン酸の投与で肝臓中のPCの18:0ー20:4ω6 分子種が減少する理由を解明するため、 〔^<14>C〕 20:4ω6と[^3H]グリセロ-ルのin vivoでのホスファチジルコリン分子種への取り込みを測定してみたが、18:0ー20:4ω6分子種の生成が特異的に抑制されていることを示す結果は得られなかった。パルミチン酸ーオレイン酸及びパルミチン酸ーアラキドン酸分子種の生合成が促進された結果、相対的に18:0ー20:4ω6分子種の生成割合が減少したものと考えられる。 (3)上述した(1)及び(2)の実験は通常の食餌(ω3系列の脂肪酸をほとんど含まない)を与えたラットを用いて行なったものであるが、次にω3系列の脂肪酸を多量に含むしそ実油と魚油をラットに与え、これにクロフィブリン酸を投与してPC中の高度不飽和脂肪酸の割合の変動を測定した。肝臓では20:4ω6とエイコサペンタエン酸(20:5ω3)は共に減少したが、腎臓では20:5ω3の割合は変化せず、20:4ωは著しく減少した。 以上の知見は、クロフィブリン酸が種々の臓器の高度不飽和脂肪酸を含むPCの生合成に著しい影響を与えることを示している。
|