1990 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物でのメチルグリオキサ-ル経路の生理化学的意義について
Project/Area Number |
02670995
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大森 晋爾 岡山大学, 薬学部, 教授 (10032872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 誠二 岡山大学, 薬学部, 助手 (50172052)
池田 己喜子 岡山大学, 薬学部, 講師 (20112154)
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Keywords | メチルグリオキサ-ル / Dー乳酸 / Lー乳酸 / ピルビン酸 / 解糖経路 / 糖尿病 / 飢餓 / グリセロ-ル |
Research Abstract |
1.ヒト赤血球でのメチルグリオキサ-ル(MG)の生成と代謝、及びDー乳酸の生成について、解糖経路とMG副経路を比較するための実験:(1)ヒト溶血赤血球液ではFー1,6ーPを基質にすれば37℃30分後に無機リン酸とMGはコントロ-ルに比べ上昇した。Dー及びLー乳酸は増加しなかった。(2)しかし(1)の系にGSHを加えればDー乳酸が増加した。このことより赤血球にはMG副経路があることがわかる。(1991、3月薬学会で発表) 2.糖尿病ラットでのMG経路:ラットをストレプトゾトシンで糖尿病とする。糖尿病として3日後にはすでに血糖値が2.5倍となる。3日、17日30日後に各々Lー乳酸、Dー乳酸、MG、ピルビン酸を測定した。例えば30日後には血中、肝中のDー乳酸が大きく対照に比べて増加した。 3.72時間飢餓にしたラットでのMG経路:血漿Dー乳酸とMGの含量は正常ラットに比べて各々1.7、2.5倍上昇した。逆にLー乳酸は1/2に低下した。糖尿病と飢餓の両方でピルビン酸キナ-ゼが低下していた。 4.何がMG及びDー乳酸の出発物質か:今迄ラット肝ホモジネ-トや赤血球を酵素源に実験をしていたが、ラット肝潅流実験ではグリセロ-ルがそれらの良い出発物質であることがわかった。以上1.から4.までの実験結果とそれ以前の実験結果とを総合して考えられることは赤血球はホルモン不感受性型で糖代謝の制御機構がないので、ブド-糖の濃度が高ければMG経路に入り、溶血赤血球ではFー1.6ーPの濃度に応じてMG経路に入る。一方その他の組織では三炭糖が出来るまブド-糖とグリセロ-ルからエムデンマイヤ-ホ-フ経路とMG経路に入る。この時、ピルビン酸キナ-ゼの活性低下の時(糖尿と飢餓)はMG経路を通るらしいことがわかった。逆にグルタチオンレベルの低下の時は各組織ではMG経路がMGで停止し、MGのレベルの上昇、Dー乳酸レベルの低下、Lー乳酸の上昇が予想される様になり、研究の新しい方向が生じた。
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[Publications] Yasunori Kondoh: "DーLactate concentration in blood,urine and aweat before and after exercise." Eur.J.Appl.Physiol.Occup.Physiol.(1991)
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[Publications] Shinji Ohmori: "Fluorimetric and highーperformance liquid chromatographic determination of Dーlactate in biological samples." J.Chromatogr.Biomed.Appl.(1991)