1991 Fiscal Year Annual Research Report
酵素合成される新規プロ型アスコルビン酸の活性酸素消去能と自己免疫疾患への応用
Project/Area Number |
02670996
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 格 岡山大学, 薬学部, 教授 (20028848)
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Keywords | 安定型アスコルビン酸 / アスコルビン酸2ーグルコシジ / αーグルコシダ-ゼ / 免疫賦活作用 / コラ-ゲン合成促進 / 細胞傷害性 / 抗白内障作用 |
Research Abstract |
これまで我々は、アスコルビン酸(AsA)の安定型誘導体である2ーOーαーDーグルコピラノシルーLーアスコルビン酸(AAー2G)が、哺乳動物αーグルコシダ-ゼ、イネ種子αーグリコシダ-ゼやバチラス属CGTaseの糖転移反応により合成され、動物の細胞や生体に投与するとビタミンC活性を発揮することを見いだした。さらにこのものは、AsA同様コラ-ゲン合成をも促進することを証明した。 今回は、本化合物の免疫活性を調べると共に、活性酸素障害治療薬としての可能性を追究する目的で、若干の研究を行なった。その結果、(1)AsAは、in vitro脾細胞培養系において、培養開始時にその適当量を添加しても免疫賦活作用は認められなかったが、AAー2Gには強い免疫賦活作用が認められた。(2)そこで、この原因がAsAの不安定性に基づくものと考え、頻回添加を試みたところ、AsAにもAAー2G同様の活性が認められるようになった。(3)AAー2Gのこの作用はαーグルコシダ-ゼ阻害剤キャスタノスペルミンの存在下では消失した。以上の知見は、AAー2Gの作用は房胞表面又は細胞内で酵素的にAsAが適量かつ持続的に遊離され、遊離されたAsAが免疫賦活作用を示していることを示唆するものである。(4)次に白血球や鶏胚線維芽細胞を用いて、in vitro実験でAsAとAAー2Gの細胞障害性を比較したところ、0.5mM以上のにおいてAsAに強いラジカル反応に基づく細胞障害性が見られたのに対し、AAー2Gには全くそのような障害性は認められなかった。この障害性はカタラ-ゼの添加で抑制された。(5)さらにAsAとAAー2Gを培養細胞に添加し、細胞内に取り込まれたAsA含量を調べたところ、AsA添加時には、極めて大量のAsAが細胞内に認められたが、AAー2G投与の場合には少量であった。両者の生物活性が同等に認められることから、過剰に取り込もれたAsAが細胞障害の原因と考えられた。(6)鶏胚を用いたハイドロコ-チゾン誘導白内障のモデルに対し、AAー2GはAsAに比べ有意に強くこれを抑制した。この原因としてグルタチオンの増量が示唆された。AsAとAAー2Gに関し、活性酵素のスカベンチャ-としての有効性については小腸刷子縁膜の脂質過酸化に対する抑制作用の予備的検討を現在行なっている。
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[Publications] Norio Muto,Yasuko Ban,Masanori Akiba and Itaru Yamamoto: "Evidence for the in vivo formation of ascorbic acid 2ー0ーαーglucoside in guinea pigs and rats" Biochem.Pharmacol.42. 625-631 (1991)
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[Publications] Biochim.Biophys.Acta: "Characterization of Bacillus stearothermophilus cyclodeztringlucanotrandsferase in ascorbic acid 2ー0ーαーglucoside formation" Mari Tanaka,Norio Muto and Itaru YAmamoto. 1078. 127-132 (1991)
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[Publications] Itaru Yamamoto,Norio Mutoh,Kouki Murakami and Junーichi Akiyama: "Collagen synthesis in human skin fibroblasts is stimulated by a stable form od ascorbate,2ー0ーαーDーglucopyranosylーLーascorbic acid" J.Nutri.(1992)
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[Publications] Masanobu Nagata,Hidetoshi,Tanioka Hiroyuki Mibu,Mitsushi Hikida,Masanori Akiba and Itaru Yamamoto: "Effect of ascorbic acid 2ー0ーαーglucoside on hyrdocortisoneーinduced cataract formation in developing chick embryos:Comparison of the preventive effects among ascorbic derivatives" Curr.Eyes Res.,. (1992)
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[Publications] Kouki Murakami,Norio Muto,Kyoko Fukazawa and Itaru Yamamoto: "2ー0ーαーDーGlucopyranosylーLーAscorbic acid is a nonーcytotoxic vitamin C to cultured fibroblasts" Chem.Pharm.Bull.,. (1992)
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[Publications] Itaru Yamamoto,Mari Tanaka and Norio Muto: "Enhancement by ascorbic acid 2ー0ーαーglucoside of in vitro antibody production of musue splenocytes" FEBS Letters. (1992)