1990 Fiscal Year Annual Research Report
リソゾ-ム膜を構成するシアロ糖タンパク質のクロ-ニングとその細胞内発現
Project/Area Number |
02671002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
姫野 勝 九州大学, 薬学部, 助教授 (50037602)
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Keywords | リソソ-ム膜タンパク質 / Mー6ーP受容体 / cDNAクロ-ニング / リソソ-ム |
Research Abstract |
リソソ-ムのマトリックスに存在する酸性加水分解酵素の局在化には、酵素の高マンノ-ス型糖鎖にリン酸化が起こり、生成したマンノ-スー6ーP(Mー6ーP)がsorting signalとなり、リソソ-ムへ輸送されるという説が出されている。しかしながら、リソソ-ム膜に存在する糖タンパン質でこれまで明らかにされたものは、すべて複合型の糖鎖を有し、Mー6ーPが形成される可能性は否定されている。リソソ-ム膜糖タンパク質の局在化には、マトリックス酸性加水分解酵素と全く異なる分子機構が働いている可能性が強くなった。本研究ではリソソ-ム膜糖タンパン質の局在下に必要なsorting signalは蛋白部分、特にそのC末端部分に存在すると推定し、リソソ-ム膜糖タンパク質のアミノ酸配列を決定し、共通のsignal sequenceを明らかにすることを目的としている。 初年度に於いては、リソソ-ム膜に存在する分子量87Kを有するシアロ糖タンパク質(LGP87)及びMg^<++>ーATPaseの抗体を用いて、ラット肝cDNAライブラリ-(λgtll)よりそれぞれの遺伝子の単離を試みたが成功しなかった。そこで精製したLGP87をトリプシンで分解後、逆相系のカラムでペプチドフラグメントを単離した。得られたフラグメントの一つを用いて、合成したDNAをプロ-ブとしてクロ-ニングを行った。単離したcDNAは2065個のヌクレオチドから成り、478個のアミノ酸(Mr54,090)をコ-ドする翻訳領域と11ケ所の糖鎖結合部位を有していた。N末端アミノ酸シ-クエンスは読み始めのメチオニンのみを消失しているだけでシグナルシ-クエンスは切断されずに保持されていた。また、二ケ所に高い疎水性部位が観察され、N末端(アミノ酸残基4ー26)側とC末端(アミノ酸残基433ー458)に存在していた。二ケ所の膜アンカ-部位を有するリソソ-ム膜糖タンパク質についての報告は現在までなく、LGP87は非常にユニ-クな糖タンパク質である事が明らかになった。Mg^<++>ーATPaseについては現在DNAをプロ-ブとして、cDNAの単離が進行中である。
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[Publications] Yoshitaka Tanaka: "Transport of Acid Phosphatase to Lysosomes Does not Involve Passage through the Cell Surface" Biochem.Biophys.Res.Commun.166. 712-722 (1990)
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[Publications] Yoshitaka Tanaka: "Biosynthesis,Processing,and Intracellular Transport of Lysosomal Acid Phosphatase in Rat Hepatocytes" J.Biochem.108. 278-286 (1990)
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[Publications] Yoshitaka Tanaka: "Release of Acid Phosphatase from Lysosomal Membranes by Cathepsin D" J.Biochem.108. 287-291 (1990)
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[Publications] Yoshitaka Tanaka: "Lysosomal Acid Phosphatase is Transported via Endosomes to Lysosomes" Biochem.Biophys.Res.Commun.166. 1176-1182 (1990)