Research Abstract |
I.ホルモンによる細胞内レギュカルチンの変動について レギュカルチン(RC)の抗体を作製し,酵素免疫測定法を開発し,RCの各臓器中の濃度を測定した。その結果,RCは,肝に多量に存在し,腎にわずかに存在していたが,脳,肺,ひ臓,心臓,平滑節,骨格節,十二指腸ではほとんど存在していなかった。 また一方,RCのcDNAをプロ-ブとして,ノ-ガンブロッティング法によりRCのmRNAの変動を調べると,RCのmRNAは肝に著明に発現され,腎でわずかであり,他の臓器では認められなかった。Ca^<2+>を腹腔内(ラット)投与すると,ホルモン(カルチトニン)分泌を介して,肝細胞内にCa^<2+>が増量するが,この場合において,肝mRNAの増量(約2倍)が見出された。 II.レギュカルチンによる肝細胞機能の調節について 肝細胞機能のCa^<2+>による調節については,ほとんど知られておらず,最近,この面における知見が報告されつつある。Ca^<2+>結合蛋白質レギュカルチンがどのような調節効果を有するのかを明らかにした。 DNA合成に使用されるウソジン代謝に関与する酵素デオキシウリジントソホスファタ-ゼ活性がCa^<2+>(1〜10μM)により低下したが,その低下はRC(1〜2μM)の存在による発現されないことを明らかにし,RCのCa^<2+>作用の制御因子としての役割を示す結果を得た。 Ca^<2+>による肝細胞核機能の調節とRCによる制御について明らかにするために,まず,肝細胞核へのCa^<2+>の取り込みについてCa^<2+>電極計を用いて調べた。その結果,細胞核においてCa^<2+>の取り込みとその放出機構が存在することが明らかにされ,RCはCa取り込みに影響しなかったが,Ca放出を刺激することが見出された。この結果は,RCによる肝細胞核機能の調節において,核内Ca^<2+>の放出を促進することが,RCによるCa^<2+>作用制御の機作の1つとして重要であるものと考えられた。
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