1991 Fiscal Year Annual Research Report
新しいOーグリコシド型糖蛋白質代謝異常症の分子遺伝子レベルでの解析
Project/Area Number |
02671007
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
平林 義雄 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90106435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 保 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80118801)
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Keywords | αーNーアセチルガラクトサミニダ-ゼ / Oーグリコシド型糖鎖 / 先天性代謝異常症 / アミノ酸ーOーグリコシド |
Research Abstract |
筆者らは神崎病と呼ばれる新しいタイプの糖蛋白質代謝異常症を見いだした。尿中に排出されるOーグリコシド結合型の糖ペプチドの構造解析、および患者由来養繊維芽細胞中のエクソ型グリコシダ-ゼ活性の測定結果から、この疾患の生化学的原因はαーNーアセチルガラクトサミニダ-ゼ酵素の欠損であることを既に明らかにしている。新潟大学、医学部、辻らとの共同研究により、ヒト胎盤cDNAライブラリ-より単離した遺伝子をCOS細胞に挿入し酵素蛋白を発現させるシステムを確立し、発現した酵素の生化学的特性を明らかにした。その結果、この酵素は人工基質である、PNPーαーGalNAcを速やかに加水分解するが、GalNAcーαーOーSer(またはーThr)に対してはほとんど作用しないことを見いだした。なを、後者の活性を高感度に測定する目的で、患者尿より得たものをダンシル化した蛍光標識化基質を用いて高速液体クロマトグラフィ-により測定する新しい方法を開発した。 一方、神崎病と異なりNーグリコシド結合型糖ペプチドを大量に排出する日本人患者を見いだした。本患者の病因を明らかにする目的で尿中の主要オリゴペプチド13種を単離精製し、それらの構造決定を行った。その結果、調べたものすべて、Asnを含むNーグリコシド型であった。また、そのうちの一つは、NeuAcα2ー8NeuAc構造を有する新しいタイプの構造を有していた。本疾患の生化学的原因は、GlcNAcーAsnのNーグリコシド結合を切るNーアスパラチルグリコシルアミニダ-ゼの欠損であることが判明した。これは、日本人として最初の報告例であった。本患者及び神崎病共に欠損酵素とは直接関係のないシアル酸を含むオリゴ糖プチドが尿中に大量に排出される原因として、加水分解されないアミノ酸ー糖(GlcNAcーAsn,GalNAcーThr)がゴルジ体に再び浸入して、グリコシルトランスフェラ-ゼの修飾を受けたためであると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Yoshida,S.Ikeda,N.Yanagisawa,T.Yamaguchi,S.Tsuji and Y.Hirabayashi,: "Two Japanese cases with aspartylglycosaminuria:clinical and morphological features" Clinical Genetics. 40. 318-325 (1991)
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[Publications] 平林 義雄,入江 史敏,神埼 保: "び慢性被角血管腫を伴った新しいリソゾ-ム蓄積症の臨床的、生化学的研究" 日本先天代謝異常学会. 7. 53-57 (1991)
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[Publications] F.Irie,Y.Suzuki,Y.Hirabayashi: "Highly sensitive detection of urinary oligosaccharide derivatives by HPLC with pulsed amperometric detector" Biochim.Biophys.Acta.