1990 Fiscal Year Annual Research Report
眼疾患の発症機作の究明と予防,治療薬の検索及びモデル動物の開発
Project/Area Number |
02671012
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西郡 秀夫 帝京大学, 薬学部, 教授 (90050517)
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Keywords | Cataract / Radicel scavenger / Glucocorticoid / Glutathione / Propylene glycol / Chick Embryo / Lipid peroxide / Liver |
Research Abstract |
白内障の発症機作の解明と抗白内障薬開発に関する基礎研究をグリココチルコイド誘発鶏胚白内障モデルを用いて行なった。 1)抗白内障薬の検索とその作用機作:プロピレングコ-ル(PG)の抗白内障効果について。マウスのX線照射に対する抵抗性はPG投与によって増大するといわれている。筆者はこの点に注目しPGの抗白内障効果について調べた。その結果、PG(1.5mmol/15日齢受精鶏卵)をヒドロコルスゾン(HC)投与後3、10、20時間の3回投与することによって84%の効率で白内障の発症を予防することができた。このとき水晶体混濁化に伴うグルタチオンの低下、またHCで誘起される肝グルタチオンの低下、過酸化脂質の増加も有意に抑制された。PGは体内に入ると代謝されlactoaldehyde,methylglyoxalase,lactic acidを経由してpyruvic acidになり、これらの反応の過程でNADH_2を産生する。NADH_2は還元系の補酵素として、また、ATP産生に利用され、活性酸素の制御に重要な役割を演じるグルタチオンの合成を含め種々の代謝調節に関わると考えられる。PGは製剤原料として注射剤や内用剤の溶解補助剤として用いられていることから抗白内障薬の製剤化を試みる時にも有用と考えられる。またイソクエン酸の抗白内障効果も明白にした。2)白内障の発症機作の解明:白内障の発症過程に酸化性ストレスの介在が予想されたので水晶体中のglutathione reductase・peroxidase、catalase等の測定を行なったが活性が低く、また対照群との間で顕著な差は見出せなかった。蛋白、糖、脂質のリン酸化、脱リン酸化反応は代謝能変化の重要な示標になると考え、phosphataseを測定したところ水晶体中のacid phosphatase活性は非常に高く、また基質特異性の点で興味ある結果が得られた。3)水晶体の器官培養についは鋭意検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] J.W.Lee,M.Iwatsuru & H.Nishigori: "Preventive Effect of lsocitrate on GlucocorticoidーInduced Cataract Formation of Developing chick Embryo" Current Eye Research.
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[Publications] H.Nishigri,N.Seki & I.O.Unreda: "Preventive Effect of Propyleneglycol on GlucocorticoidーInduced Cataract Formation of Developing Chick Embryo" Current Eye Research.