1990 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答細胞の情報伝達系におけるホスファチジン酸の役割
Project/Area Number |
02671020
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (40065917)
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Keywords | 血小板 / 肥満細胞 / ホスファチジン酸 / ホスホリパ-ゼC / ホスホリパ-ゼA_2 |
Research Abstract |
ホスファチジン酸(PA)は,刺激応答細胞におけるイノシト-ルリン脂質(PI)代謝回転の中間産物として生成されるが、内在性ホスホリパ-ゼ(PL)Dによっても生成される物質であり,近年このPAがPIーPLCを活性化させる可能性が示唆され,その生理的役割が注目されている。 本研究では,このPAの情報伝達系における役割を明らかにすることを目的とし,本年度は血小板を用い,膜に進入可能なPA,および細菌由来のPLDを外因的に作用させてPAを増大させ,主にPLCへの影響を中心に活性化への寄与を検索した。以下に得られた結果を示す。 1.ウサギ洗浄血小板にジデカノイルPAを作用させると,その濃度依存的に血小板凝集が誘起され,イノシト-ル3リン酸およびジアシルグリセロ-ル(DG)の生成が著明に増大した。しかし外部Ca^<2+>非存在下ではこれら生成は見られなかった。 2.血小板にPLDを外因的に作用させると膜リン脂質中にPAが増大するが,これとともに1と同様に凝集が誘起されDG生成も増大した。 3.Fura2負荷血小板を用い細胞内Ca^<2+>量の変化を検索したところ,外部Ca^<2+>存在下でこれらの外因的処理により著明な増大が見られた。 4.上記結果はPAのCa^<2+>イオノフォア作用による可能性を示唆するが,これ以外にさらに直接的に酵素の活性化を誘起する可能性を考え,サポニン透過性血小板または血小板膜画分を用いてCa^<2+>の一定量存在下でPAの影響を検索したところ,PAの濃度依存的にDG生成の増大が見られた。しかし,この反応でGTPγS,およびGDPβSを加えてもDG生成への影響は見られなかった。 以上の結果から,PAはCa^<2+>イオノフォア効果以外にPLCを直接活性化する可能性が示唆された。しかもこの作用は受容体やGタンパク質を介するものではないと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Sato: "Phospholipase D from Streptomyces chromofuscus induces activation of both phospholipase C and A_2 via generation of phosphatidic acid in platelets" J.Biochem.,.
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[Publications] T.Hashizume: "Activation of phospholipase C by didecanoylーphosphatidic acid in the presence of Ca^<2+> by the mechanism independent of the ionophoretic effect in platelets" J.Biochem.,.