1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02671022
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
池田 潔 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50001053)
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Keywords | ホスホリパ-ゼA_2 / カルシウムイオン / 基質アナログ / pーブロムフェナシルブロミド / 酵素反応速度論 / 触媒機能 |
Research Abstract |
1.ウシ膵臓(グル-プI)およびインドクサリヘビ毒(グル-プII)について触媒基His48と特異的修飾剤pーブロムフェナシルブロミドとの反応速度のpH依存在,Ca^<2+>の結合定数のpH依存性,単分子分散状およびミセル状レシチンを基質とする酵素反応速度論のパラメ-タのpH依存性およびCa^<2+>濃度依存性を調べることより活性部位のミクロ環境と触媒作用を比較し,これまでに明らかにしてきた両グル-プの酵素の結果と比較した.その結果,Ca^<2+>と基質の結合様式および触媒作用に対する活性部位の解離基の関与における共通性と相違点が明確になった. 2.我々は,グル-プIIの酵素に対する基質の結合定数Ca^<2+>の結合に伴って約10倍増大するが,グル-プIの酵素に対する結合定数はCa^<2+>の結合と独立であることを示した.前者は結合Ca^<2+>と結合基質分子の間に直接的な相互作用が存在することを示し,後者は直接的な相互作用がないことを示す.一方,基質分子の2位のエステル結合の代わりにアミド基を含む基質アナログとグル-プIの酵素の複合体のX線結晶解析によれば,結合Ca^<2+>基質アナログと直接的な相互作用をしているという.これは我々の結果と矛盾するようなに見える.この矛盾を解決するため,この基質アナログとその類似体を合成し,グル-プIウシ膵臓PLA_2およびグル-プIIのマムシ毒PLA_2に対する基質アナログの結合定数Ca^<2+>濃度依存性を調べた.その結果,基質アナログの結果定数はC^<2+>濃度に依存し,Ca^<2+>の結合によって著しく増大することがわかった.これは溶液中においても結合Ca^<2+>と結合質アナグロ間に直接的な相互作用が存在することを示唆する.以上の結果から,酵素ーCa^<2+>ー真の基質複合体には一般に少なくとも上記のような2種類の複合体が存在し,グル-プIとIIの酵素においてはそれらの存在比が異なるのではないかと推定された.これらの結果は,PLA_2の触媒機能におけるCa^<2+>の役割を考える上で重要な発見と考えられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shinobu fujii: "Kinetics of the Hydrolysis of Monodispersed Dihexanoylphosphatidylcholine Catalyzes by Bovine Pencreatic Phospholipase A_2B:Roles of Ca^<2+> Binding and Ionizations of Amino Acid Residues in the Active Sitee" J.Biochem.110. 1008-1015 (1991)
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[Publications] Hiroko Nishimura: "Kinetics of the Hydrolysis of Micellar Sunstrates Catalyzed by Snake Venom Phospholipase A_2" J.Biochem.111. 210-218 (1992)