1991 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線によるDNA複製阻害機構とDNA傷害の修復機構の分子生物学的研究
Project/Area Number |
02671026
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村上 康文 理化学研究所ライフサイエンス筑波研究センター, ジーンバンク室, 研究員 (90200279)
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Keywords | ピリミジン二量体 / DNA修復 / 紫外線傷害 / オゾン / DNA複製 / 腫瘍ウイルス / SV40 |
Research Abstract |
本年度は平成3年度の実績を元に以下の研究を行なった。 1.SV40のin vitroDNA合成系を用いて、紫外線照射のDNA複製反応に及ぼす影響について解析した。この系では、SV40の複製開始点を持つプラスミドDNAを鋳型として、HeLa細胞抽出液により効率の良いDNA合成反応が見られ、動物細胞の染色体複製反応のモデル系として利用されている。鋳型DNAにあらかじめ紫外線を照射した後in vitroのDNA合成反応を行なった。複製反応は紫外線照射量の増加にともなって抑制されたが、完全には阻害されなかった。またその阻害の程度は、細胞に照射した場合と比べると、同等の阻害効果を得るためには、10倍程度の照射量が必要であった。複製反応のどの素過程が阻害されているかを調べるために、DNA合成反応を^<32>Pで標識された基質を用いて行ないその合成産物についての解析を行なった。DNA合成反応後、合成産物を精製しー制限酵素に消化した後、アガロ-スゲル電気泳動で解析した。その結果、DNA複製の伸長反応が主として阻害されていることが示唆された。 2.SV40DNAのin vitro複製反応系はでみられた伸長反応の阻害がin vivoでも同様に見られるか、HeLa細胞と、紫外によるDNA傷害の修復機構に欠陥を有する色素性乾皮症細胞を用いてアルカリアガロ-スゲルを用いて解析した。その結果、どちらの細胞でもin vitroでの実験と同様に伸長反応の阻害が観察された。 今後、以上の知見をもとにして染色体複製の開始反応に与える影響について調べてゆきたい。
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