Research Abstract |
平成2年度はIMー9細胞表面に存在するヒト成長ホルモン受容体(以下GHR)の機能に関連すると考えられる受容体のダウンレギュレ-ションを研究する目的で,GHRに対する抗体を調製した。IMー9細胞にはGHRは細胞あたり約2000分子しか存在しないので,ヒト肝細胞GHRの細胞外部分のアミノ酸配列を参考にして,親水性部分に相当する20個のアミノ酸からなるペプチドを4種(GHR1,2,3,4)同相法で合成し,これらを中血清アルブミンと結合させ抗原として用いた。常法にしたがいBalb1cマウスに免疫後,脾細胞とNSー1細胞をPEGを用いて細胞融合したのち,抗体産生ハイブリド-マをスクリ-ニングした。抗体陽性ウェルにつき限界希釈法によりクロ-ニング及び再クロ-ニングを行い,20株(それぞれ1(GHR1),10(GHR2),6(GHR3),3(GHR4)のハイブリド-マを樹立した。これらの抗体のIMー9細胞への結合性を抗マウス1gの ^<125>I標識F(ab')_2を2次抗体として用い調べたところ,それぞれ1(GHR1),4(GHR2),2(GHR3),2(GHR4)株の産生する抗体が結合活性を示した。一方,IMー9細胞膜画分をSDSで処理し,可溶画分についてSDSーPAGEを行い,ニトロセルロ-ス膜に転写後,20株の各抗体を用いたウェスタンブロットを行ったところ,2種の抗体でGHRと思われる分子量約120,000のタンパクのみが検出された。他の18種の抗体では複数のタンパクバンドが検出されるか,または全く何も検出されないかのいずれかであった。GHRのみを検出できる上記2抗体を産生する株はいずれもGHR2ペプチドを免疫原とした株から得られたものであり,それぞれGHR2ー88,GHR2ー179と命名した。前者は1gG(γ_<2a>,κ),後者は1gG(γ_1,κ)であった。先に述べたIMー9結合活性を持つ9種の抗体は全て,hGHによってIMー9への結合を阻害されなかった。現在,これらの抗体を用いてGHRの同定並びにダウンレギュレ-ションの解析を行っている。
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