1991 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御と薬物代謝因子としてのグルタチオンとグルタチオン抱合体の膜輸送機構の解析
Project/Area Number |
02671030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 宇史 北海道大学, 医学部, 講師 (00158908)
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Keywords | グルタチオン / グルタチオン抱合体 / 膜輸送 / ATPase |
Research Abstract |
グルタチオンSー抱合体で活性化を受けるATPase。 グルタチオンSー抱合体で活性化されるのATPaseの生理学的意義に関して検討を試みるとともに、酵素蛋白の精製とその構造解析、更に物理化学的性状の解明を試みた。ヒト赤血球膜をトリトンXー100で可溶化後、Sーヘキシルグルタチオンを結合したセファロ-スゲルにかけた。更にゲル濾過法で精製を行った。この酵素は高濃度の酸化型グルタチオンと低濃度のグルタチオン抱合体によって活性化されるATPase活性を示した。本酵素はSDSゲル電気泳動法で分子量約30Kを示した。この酵素画分を燐脂質の人工膜に再構築してみると、グルタチオン抱合体による活性化を受ける酵素活性のみならず同抱合体の輸送活性も示した。このことからこの酵素画分がグルタチオン抱合体の膜輸送にに関与していることが示唆された。 グルタチオンSー抱合体で活性化を受けるATPaseの発現。 本酵素に対する特異抗体を作製し各種の細胞膜における発現をフロ-サイトメトリ-法で免疫学的に検討すると、赤血球酵素と同一の免疫原性を血小板、白血球、肝細胞、K562培養細胞などが示した。K562細胞に「 ^3H」チミヂンを投与し抗体でPuls Chaseすると、約15分で蛋白の出現がSDSゲル電気泳動法で観察された。これらの結果から、グルタチオンSー抱合体で活性化を受けるATPaseは各種の細胞膜に存在し、薬物や酸化的ストレスに対する細胞の防御反応に関与していることが示唆された。
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