1991 Fiscal Year Annual Research Report
地域流行性甲状腺疾患についてヨ-ド摂取量の違いにより起こる疾病構造の変化の解析ー岩手県釜石市及び中国吉林省長白山系住民の疫学的調査よりー
Project/Area Number |
02671033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高屋 潔 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (60188092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤盛 啓成 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50238622)
木村 修一 東北大学, 農学部, 教授 (70005586)
斉藤 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (80004901)
田口 喜雄 東北大学, 医学部, 助教授 (70004885)
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Keywords | 甲状腺腫瘍 / ヨ-ド / 地域流行性甲状腺腫 / クレチン病 / 超音波診断 |
Research Abstract |
1.昭和49年以来実施してきた釜石市での検診活動を平成3年度も実施した。1616名の受診者に対して検診を行なった。結果、甲状腺癌4名、良性結節性腫瘍6名、濔慢性単純性甲状腺腫64名、慢性甲状腺炎8名を発見診断した。現在、昭和49年以来の受診者約12、000名分の検診結果の集計を行なっている。 2.平成3年度には、中国における第三回目の検診活動を実施した。今回は、先天性甲状腺機能低下症(クレチン病)が多発した青山村住民997名、及びその隣村の住民637名の計1634名の検診を実施した。検診は、まず触診を行なった後、受診者全員に超音波検査を行なった。7.5MHzの超音波エコ-2台を使用して、約6500枚の甲状腺エコ-写真を撮影した。現在デ-タ分析中であるが、これまでに以下の興味ある事実を突き止めた。1)甲状腺腫瘍の発生頻度は、ヨ-ドを加えた食塩の投与を開始した時期を境にして大きく異なっていることが判明した。ヨ-ド加食塩投与を開始した1960年以後に出生した住民では、甲状腺腫瘍の発生頻度は3.5%であるのに対して1960年以前に出生した住民では53%と驚くべき高い頻度であった。2)前頸部に突出し巨大な甲状腺腫は50才以上の住民にのみ認められた。3)甲状腺腫の多くは、著明な石灰化を伴っており、前年に実施したクレチン病患者に見られた甲状腺腫と類似していた。4)超音波エコ-の所見からは、殆どの甲状腺腫は腺腫様甲状腺腫の所見であった。5)20〜30才代の住民には、超音波エコ-の所見で甲状腺内の静脈が著明に拡張しているものが多数認められた。6)本研究に協力している吉林省地方病第二防治研究所が行なった調査では、1960年以前の調査地域住民のヨ-ド摂取量は50μg/day以下であったが、ヨ-ド加食塩摂取を開始してからは100μg/day以上を摂取していることが判明した。
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