1990 Fiscal Year Annual Research Report
食物繊維による経口摂取RI標識発がん物質の体内吸収軽減効果
Project/Area Number |
02671040
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山本 一郎 北里大学, 衛生学部, 教授 (10050361)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森口 政英 明治製菓(株), 薬品総合研究所・毒性試験所, 係長
丸山 弘子 北里大学, 衛生学部, 助手 (50129269)
|
Keywords | 食物繊維 / 食用海藻 / RI標識発がん物質 / 体内吸収軽減 / 標的臓器到達軽減 / DNA結合軽減 |
Research Abstract |
食物繊維の含有量の高い食品の中、寒天、干シイタケ、アオノリ、アマノリ、ホソメコンブのそれぞれの乾燥粒末を標準飼料に2%の割合に添加した実験飼料およびセルロ-ス粒末を1.5%の割合に添加した実験飼料を作製し、現在冷蔵保存中であるが、これまでにホソメコンブ添加飼料を用いて実験を行った。すなわち実験飼料をSD系雌性ラットに3日間自由摂取させた後、ラットに乳癌を誘発させる化学発癌剤、7ー12ージメチルベンズアントラセン(DMBA)のRI標識物質(〔Gー^3H〕DMBA)の1.2μCi/0.1mlオリ-ブ油を1回胃内投与して3時間後、24時間後に採血、解剖して、血中、諸臓器中、尿中の^3Hの含有量を液体シンチレ-ションカウンタ-で測定し、DMBAの取り込み量を算出した。対照群のラットには標準飼料を与え同様にDMBAの取り込み量を算出した。その結果、実験群ラットの3時間後の標的臓器、皮膚の^3H含有量は0.1632nmol/g tissue、血液:0.0762、24時間後の皮膚:0.2560、血液:0.1192で、対照群ラットの3時間後の皮膚:0.3323、血液:0.1016、24時間後の皮膚:0.5132、血液:0.1585に比べて低値を示し、食物繊維としてのホソメコンブが発癌物質DMBAの腸管から体内への吸収軽減、標的臓器への到達軽減の作用が確かめられた。またホソメコンブの食物繊維含有量は41%であった。これらの結果は、平成2年8月第15回国際癌会議(ハンブルグ、西独)にて報告した。その後、皮膚よりDNAを抽出し、DMBAと皮膚DNAとの結合を^3Hを測定して算出したところ、実験群では24時間後にDMBA・DNA結合の低下が認められた。 現在、セルロ-ス、アマノリの添加食を用いて同様の実験を展開中である。
|