1991 Fiscal Year Annual Research Report
培養神経細胞を用いた向精神薬作用の定量化ー受容体結合とグルコ-ス代謝・イオン輸送変化の関係に基づくスクリ-ニング法の開発ー
Project/Area Number |
02671049
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 康文 東京大学, 医学部・(病), 助教授 (80114502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 教授 (80090471)
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Keywords | 培養神経細胞 / 分離神経細胞 / グルコ-ス / 3ー0ーmethylglucose / 2ーdeoxyglucose / muscimol |
Research Abstract |
本年度はGABA_Aアゴニストであるムシモ-ルのレセプタ-への結合占有率と脳グルコ-ス代謝速度変化の関係をin vitroとin vivoの実験に基づいて明らかにした。脳グルコ-ス利用率の測定は ^<14>Cー2ーデオキシグルコ-スと ^3Hームシモ-ルを用いたダブルトレ-サ法により測定した。ムシモ-ルの種々投与量で脳グルコ-ス代謝速度の投与量依存的な減少が観測された。またレセプタ-へのムシモ-ルの特異的結合( ^3Hームシモ-ルをリガンドとして用いる)は培養細胞の前段階として脳分離細胞を用いin vitro実験に基づいて測定した。非特異的な結合は平衡透析法を用いてin vitro実験で測定した。またムシモ-ルの種々量を投与した後の脳内濃度を測定した。以上のin vitroとin vivoデ-タより各種投与量下におけるレセプタ-結合占有率を算定した。In vitro実験から見積ったムシモ-ルのレセプタ-結合占有率と脳グルコ-ス代謝変化の間には直線的な関係が見いだされた。これらの知見より、GABA_Aレセプタ-ーリガンドシステムにおいては単純なレセプタ-占有モデルが適合することが明らかとなった。これは以前にクロナゼパム(ベンゾジアゼピンアゴニスト)のレセプタ-結合占有率と脳グルコ-ス代謝変化の飽和形の関係(レセプタ-結合占有率が30〜40%で代謝変化が頭打ちとなる)と大きく違うものであった。以上より、それぞれの薬物の占有率が変動した場合、ムシモ-ルでは高感度に脳グルコ-ス代謝が変化するが、ベンゾジアゼピンアゴニストでは大きな変化が見られないことが明かとなった。従って後者の方がある程度のファ-マコキネティクスの変動に対して緩衝作用があるものと考えられる。本方法を用いればレセプタ-毎にレセプタ-結合と作用の関係の分類が可能となるであろう。
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