1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02671054
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福沢 健治 徳島大学, 薬学部, 助教授 (90035551)
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Keywords | 過酸化脂質 / 脂質過酸化反応 / ビタミンE / トコフェロ-ル / 活性酸素 / 虚血 / 胎仔仮死 / 脊髄障害 |
Research Abstract |
1.活性酸素による膜障害の基礎的研究として、種々のキレ-タ-と錯体を形成した鉄イオンによって誘導されるモデル膜の脂質過酸化反応について検討を行い、過酸化の誘宿には(1)過酸化脂質や過酸化水素に依存するものと、(2)過酸化物に依存しない二つの機構があることを見い出した。さらに,これらの過酸化反応の機序、並びにそれらを効果的に抑制するビタミンEの抗酸化機序を明らかにした。また、用いたキレ-タ-のうち、発癌作用を有するニトリロトリ酢酸が(1)(2)両反応の誘導やヒドロキシラジカルの生成に対して最も強い活性を示したことから、その発癌建程に活性酸素や脂質過酸化の関与することが強く示唆された。 2.老化に伴って減弱する内皮依存性の血管拡張反応を、過酸化脂質との関連から調べるとともに食餌性ビタミンEの防御効果について検討した。その結果、(1)ヒスタミンによる内皮依存性の(a)血管拡張反応ならびに(b)cGMPの産生が加齢によって低下するのを食餌性ビタミンEが抑制すること、(2)ニトロプルシッドによる内皮非依存性のそれらは食餌性ビタミンEによって影響を受けないこと、(3)加齢に伴って血中の過酸化脂質が増加するのを食餌性ビタミンEが抑制することなどを明らかにした。 3.雌ラット子宮静脈の結紮による虚血障害を検討した結果、胎仔仮死の指標として測定した胎仔心泊数の回復能の低下と組織中の過酸化脂質量の増大との間に良い相関のあることや、ビタミンEの負荷により過酸化脂質量の増大が抑制されるとともに胎仔心泊数が良好な回復を示すことを見い出した。 これらの点が明らかにされたことは、活性酸素や脂質過酸化と関わりをもつことが推測される疾患(そのほとんどが成人病である)の防止ならびにその治療薬の開発に大きな手がかりを与えるものと思われる。
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[Publications] Iwasa,H.,Aono,T.,FUkuzawa,K.: "Protective effect of vitamin E on nfetal distress induced by ischemia of the uteroplacental system in pregnanto rats" Free Radical Biology & Medicine. 8. 393-400 (1990)
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[Publications] Taoka,Y.,Ikata,T.,Fukuzawa,K.: "Influence of dietary vitamin E deficiency on compression injury of rat spinal cord" J.Nutritional Science & Vitaminology. 36. 217-226 (1990)
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[Publications] 福沢 健治,高石 喜久: "抗酸化剤" 活性酸素・フリ-ラジカル. 1. 55-70 (1990)
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[Publications] 平本 泰志,藤井 智仁,福沢 健治: "過酸化脂質依存性脂質過酸化反応に対するαーTocpherolの作用" ビタミンE研究の進歩. 1. 153-157 (1990)
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[Publications] 南 和志,福沢 健治,守時 英喜: "加齢に伴って減弱するラット大動脈の拡張反応に対する食餌性ビタミンEの効果" ビタミン. 64. 255 (1990)
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[Publications] Fujii,T.,Hiramoto,Y.,Terao,J.,Fukuzawa,K.: "Siteーspecific mechanism of initiation by chelated iron and inhibition by αーTocpherol of lipid peroxideーdependent lipid peroxidation in charged micelles" Archives Biochemistry & Biophysics. 284. 120-126 (1991)
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[Publications] 福沢 健治 寺尾 純二: "脂質過酸化実験法" 広川 書店, 92 (1990)