1990 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリン誘導体によるペプチド性薬物の安定化と粘膜吸収性の改善
Project/Area Number |
02671055
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
上釜 兼人 熊本大学, 薬学部, 教授 (90040328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 徹美 熊本大学, 薬学部, 助手 (60150546)
平山 文俊 熊本大学, 薬学部, 助教授 (90094036)
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Keywords | 生理活性ペプチド / 鼻粘膜適用製剤 / シクロデキストリン誘導体 / メチル化シクロデキストリン / インスリン / 酢酸ブセレリン |
Research Abstract |
生理活性ペプチドの投与ル-トの拡大を企図して,生体適合性や機能性に優れる天然シクロデキストリン(αー,βー,γーCyD)とその親水性誘導体[ヒドロキシプロピル化体(HPーCyD),メチル化体(DMーCyD),分岐誘導体(G2ーCyD)など]を用いて,鼻粘膜適用製剤の開発における基礎的検討を実施中である.本年度は,各種βーCyDsによるペプチド性薬物[酢酸ブセレリン(GnーRHアゴニスト,BLA),インスリン,EGFなど]の安定性及びバイオベイラビリティの改善,局所傷害性の軽減に関する検討を行い,以下の知見を得た. 1.各種スペクトル法(UV,CD,NMR,蛍光)による検討から,親水性CyDsとペプチド性薬物との相互作用は極めて弱く,BLAの場合は芳香族性アミノ酸残基をCyDsが部分的に包接する可能性が示唆された。2.DMーβーCyDはインスリン及びBLAのラット鼻腔からの吸収を最も増大し,それに伴い顕著な薬理効果の増強が認められた。3.鼻粘膜中に存在する蛋白分解酵素活性に及ぼすCyDsの影響を検討した結果,酵素活性の低下が観察された.4.In vivo鼻粘膜透過性に及ぼすCyDsの影響を透過マ-カ-としてイヌリンを用いて検討した結果,HPーβーCyDに比べてβーCyDやDMーβーCyDはイヌリンの血中への移行を増大し,鼻粘膜透過性の亢進が示唆された.5.最も大きな吸収促進作用を示したDMーβーCyDの鼻粘膜表層の形態に及ぼす影響を走査型電子顕微鏡を用いて検討した結果,組織傷害性の強い吸収促進剤である非イオン性界面活性剤に比べて軽度であり,安全性の面からも支障ないものと推定された。製剤処方の最適化,長期投与時の安全性の確保などは次年度の検討課題であるが,ペプチド性薬物の経粘膜適用製剤の設計において,特にメチル化CyDは新たな機能を有する吸収促進剤として他の投与ル-トへの有効利用が期待される.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 上釜 兼人: "Sustained release of buserelin acetate,a luteinizing hormoneーreleasing hormone agonist,from an injectable oily preparation utilizing ethylated βーcyclodextrin" Journal of Pharmacy and Pharmacology. 41. 874-878 (1989)
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[Publications] 松原 和貴: "Possible use of diethylーβーcyclodextrin in preparation of sustainedーrelease oily injection of buserelin acetate (LHRH agonist)" Drug Delivery System. 5. 95-99 (1990)
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[Publications] 上釜 兼人: "New perspectives in cyclodextrin pharmaceutical application:cyclodextrin derivatives as new drug carriers" Drug Investigation,2 Suppl.4. 22-28 (1990)