1990 Fiscal Year Annual Research Report
胃・十二指腸アルカリ分泌の神経性調節の関する研究:コリン作動性機構の解明
Project/Area Number |
02671058
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 孝治 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (00150798)
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Keywords | 十二指腸 / アルカリ分泌 / 測定方法 / コリン作動薬 / ムスカリンM_2受容体 / 粘膜電位差 |
Research Abstract |
潅流液のoH変化を利用した新しいアルカリ分泌測定法を考案し、十二指腸アルカリ分泌に対するコリン作動薬の効果、及びその特性につきラットで検討した。十二指腸をpH45の生理食塩水で潅流した場合、pH及びPDはそれぞれ約5.2及びー4mVでありHCO3ー分泌量は1.0ー1.3uEq/15minであった。この系に既知量のNaHCO3を添加することにより、排出液のpHは、PD変化を伴うことなく、添加したNaHCO3の量に依存して上昇しこの場合、チャ-ト上のpH変化部分の面積とNaHCO3の添加量の間には直線関係(r=0.999)が得られた。十二指腸のpH及びPDはPGE2のi.v.投与により用量依存的に増大し、300ug/Kgの場合、pHは5.5から7.0,PDはー4mVからー8mVまで増加し、正味のHCO3ー分泌量は約8uEq/ratであった。末梢性コリン作動薬であるカルバコ-ル(i.v.)及び中枢性のコリン作動薬であるYMー14673(TRH誘導体:i.v.)も用量依存的にpH,PD,及びHCO3ー分泌量を有意に上昇させた。カルバコ-ルによるアルカリ分泌促進作用はアトロピンにより完全に抑制されたが、選択的M1拮抗薬であるピレンゼピン、或いはPG合成阻害薬であるインドメタシンでは影響を受けなかった。一方、YMー14673による反応はアトロピン、迷走神経切断により完全に遮断されるばかりでなく、インドメタシンによっても有意に抑制された。また、これらコリン作動薬の効果はベラパミル(Ca拮抗薬)によっても有意に抑制された。PGE2によるアルカリ分泌反応は上記の薬物により影響を受けなかった。以上、十二指腸アルカリ分泌は内因性PGばかりでなく迷走神経を介したコリン作動機構によっても調節されており、後者の場合、その作用発現はM2受容体を介したCa依存性の過程によることが判明した。また、末梢性と中枢性コリン作動薬ではインドメタシン感受性に差異が認められ、迷走神経を介するアルカリ分泌の促進機序には内因性PGによる修飾が加わっているものと推察された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takeuchi K et al.: "Determination of bicarbonate output using pH deflection in the rat duodenum;Influences of PGs and cholinergic aqents." The Japanese Journal of Pharmacology. 52. 225-232 (1990)
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[Publications] Takeuchi K et al.: "Stimulation by prostaglandin E2 of alkaline secretion in the rat duodenum;comparative study with hypertonic NaCl." The Japanese Journal of Pharmacology. 53. 67-74 (1990)
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[Publications] Takeuchi K et al.: "Characterization of duodenal alkaline response caused by cholinergic agents in the rat;Involvement of muscarinic M2 receptors and calciumーdependent process." Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 254. 465-470 (1990)
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[Publications] Takeuchi K et al.: "Determination of gastroduodenal alkaline response in the rat." Journal of Pharmacological Methods. 24. 189-202 (1990)
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[Publications] Takeuchi K et al.: "Stimulation of gastric bicarbonate secretion by an analog of thyrotropinーreleasing hormone,YMー14673,in the rat." Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. (1991)
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[Publications] 竹内 孝治: "十二指腸の粘膜防御機構におけるアルカリ分泌の重要性、管腔及び粘液層内での酸の中和(総説)" 薬学雑誌. 110. 85-104 (1990)