1991 Fiscal Year Annual Research Report
フィブリノゲンの血小板結合に関する検討ー血小板内カルシウムの関与についてー
Project/Area Number |
02671065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松野 一彦 北海道大学, 医学部, 助教授 (70102332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜田 恵右 北海道大学, 医学部, 講師 (80002161)
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Keywords | 血小板 / フィブリノゲン / カルシウム / トロンビン / GMPー140 |
Research Abstract |
昨年螢光標識フィブリノゲンを用い血小板へのフィブリゲン結合のフロ-サイトメトリ-による測定法を確立した。そこで本方法によりトロンビン沙激血小板へのフィブリノゲン結合を測定し,それに対するforskolinの影響を検討した。forskolinの添加で血小板内のcAMPは増加し,トロンビン刺激後のIP_3の産生は抑制された。また同一サンプルを用いたトロンビン刺激後の細胞質遊離Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)の増加も濃度依存性に抑制された。さらに同濃度のforskolinは,トロンビン刺激による血小板へのフィブリゲン結合も抑制した。螢光Ca^<2+>インジケ-タ-fluoー3を細胞内に導入し,[Ca^<2+>]iをフロ-サイトメトリ-にて測定するとともに,その血小板に結合するTRITC標識フィブリノゲンの結合をも同時にフロ-サイトメトリ-により測定することを試みたが,fluoー3螢光がTRITC螢光測定に干渉し,同時測定は困難であった。 次に刺激血小板の表面へのGMPー140発現をフロ-サイトメトリ-にて測定した。未刺激血小板へのGMPー140の発現は3%以下であったが,トロンビン刺激により経時的にGMPー140の発現は増加した。このGMPー140の発現は,細胞外のCa^<2+>を除いても影響を受けなかったが,BAPTAを細胞内に導入して細胞内Ca^<2+>をキレ-トしたり,forskolinによってcAMPを増加させると抑制された。トロンビン刺激による血小板へのフィブリノゲンの結合とGMPー140の発現のフロ-サイトメトリ-を用いての同時測定を試みた。トロンビン刺激により,血小板へのフィブリノゲン結合が先におこり,引き続いてGMPー140の発現がみられた。細胞外Ca^<2+>の除去では,フィブリノゲン結合が主として抑制されたが,BAPTA/AM,forskolinの添加により両者とも平行して抑制された。 以上の結果から,血小板へのフィブリノゲン結合は細胞内Ca^<2+>の増加と密接に関連していると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tsunoda,Y.,et al.: "Cytosolic acidification leads to Ca^<2+> mobilization from intracellular stores in single and populational parietal cells and platelets." Experimental Cell Res.193. 356-363 (1991)
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[Publications] 松野 一彦 ら: "血小板活性化における細胞内カルシウム動員とその制御" 臨床血液. 32. 467-474 (1991)
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[Publications] 小山 稔 ら: "ヒト血小板におけるイノシト-ル1,4,5ー三リン酸測定の検討" 現代医療. 23. 3455-3457 (1991)
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[Publications] 松野 一彦 (日高弘義ら 編): "血小板活性化の生化学 “血小板活性化と細胞内Ca^<2+>動態"" 金芳堂, 218 (1991)