1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02671073
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
星野 忠夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20090037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高林 洋一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80051712)
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Keywords | StA_<1C> / FPG / HbA_<1C> / HPLC / 耐糖能スクリ-ニング / 見落とし率 / 見違い率 / 判別式 |
Research Abstract |
前年度迄におこなった実験結果では、安定型グリケイテッドヘモグロビン(StA_<1C>)と空腹時血糖(FPG)を用いる、糖無負荷・回採血耐糖能スクリ-ニング法(nonーloading glucose tolerance screening tast,NGTT)は、従来のHbA_<1C>を用いての結果と比較して、見落とし率、見違い率ともに優れていた。本年度は、これまでに得られたNGTTの有用性の確認とその実用化の可能性を検討した。また、実験動物での血糖動態の判定に本安定型グリケイテッドヘモグロビン測定法が適用可能であるかどうかについても検討した。 1)StA_<1C>とFPGを用いる、NGTTの有用性の検討:検索対象数を追加した。糖尿病検診者444名西75gOGTTを施行し、前法に基づき糖負荷前採取血の血糖とStA_<1C>を従来法により測定し、重回帰分析を行い判別式を得た。判別式は、Z=35.9xStA1c+4.5×FPGー180.8、判別値は、D群≧470>I群≧358>N群であった。NGTTにより判定とOGTT判定の整合性は良好であった。本法は、OGTTの再現性を考慮すると、OGTTとほぼ同等の成績を与えるものと考えられた。 2)StA_<1C>迅速分析法の検討:これ迄に報告した測定法は分析時間も長く、実用化への問題が残されていた。今回、StA_<1C>の迅速分析につき検討を行ったところ、市販のカラムを使用し、8分間での分析が可能となった。この測定法でも、StA_<1C>は不安定型HbA_<1C>や胎児性ヘモグロビンとは良好に分離され、尿毒症および慢性アルコ-ル中毒患者からの試料でも影響を受けなかった。また、分析中に起こる試料の酸化により、StA_<1C>値の測定に誤差が生ずることが分かり、その防止策を施すことで測定値が安定した。 3)迅速分析法によるStA_<1C>とFPGによる耐糖能スクリ-ニング結果の従来法による結果の比較検討:別の検診者235名に対し、StA_<1C>の迅速分析を行い、1)の判定式に迅速分析StA_<1C>とFPGを導入し、1)の判別値により判定を行った。結果は、見落し率は7.2%、見違い率は0%であり、従来測定法によるStA_<1C>による判定結果と同等の精度を示した。 4)迅速分析法による安定型グリケイテッドヘモグロビン分析法の溶離条件に変更を加えることにより得られるマウス安定型グリケイテッドヘモグロビン(MーStA_<1C>)の測定:MーStA_<1C>値は、ヒトStA_<1C>同様に短期的に血糖変動の影響を受けず、一定期間に於ける血糖積分値を反映した。 「まとめ」StA_<1C>の測定法が異なっても、一回採血で得られるStA_<1C>とFPGとから耐糖能の判定が可能である。また、StA_<1C>の測定時間は精度を損なわず短縮され、本判定法の実用化への可能性が示された。また、迅速分析法による安定型グリケイテッドヘモグロビン分析法は、実験動物での血糖変動の推定にも有用であると考えられた。
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[Publications] 鈴木 美貴子: "安定型グリケイテッドヘモグロビンによる血糖動態推定のマウスでの試みーI" 糖尿病動物. 5. 126-129 (1991)
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[Publications] 星野 忠夫: "安定型グリケイテッドヘモグロビン(St・A_<1C>)の迅速分析法を利用した一回採辺による耐糖能異常者の検出" 糖尿病. 34. 240 (1991)
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[Publications] 鈴木 美貴子: "安定型グリケイテットヘモグロビン(St・A_<1C>)の迅速分析" 糖尿病. 34. 284 (1991)