1992 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部での成長ホルモン放出因子ならびにソマトスタチン遺伝子の発現について
Project/Area Number |
02671104
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
片上 秀喜 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (50204417)
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Keywords | 成長ホルモン促進因子 GRF / ソマトスタチン SRIF / 遺伝子発現 / 遺伝子侏儒症ラット / GRFtransgenicrats / hGRFEIA / in situ hybridization / Northern blots analysis |
Research Abstract |
本研究は、ヒトにおけるGH分泌調節に関与する視床下部の役割を解明するため、疾患モデル動物として、GH分泌異常をきたしたラットにおいてGRFならびにSRIFの遺伝子発現とそれらに影響を与える因子を検討し、その相互作用を明らかにすることを目的とする。平成2年度は甲状腺機能低下症ラットにおける視床下部GRF遺伝子発現を検討し、その発現が亢進していることを見いだした。平成3年度では、視床下部SRIFがGRF分泌を抑制するという我々の報告(Katakami et al,Endocrinology1988)をさらに発展させ、蛋白質レベルのみならず遺伝子レベルでも、視床下部弓状核GRF産生細胞に対して、SRIFが抑制的に作用することが明らかにした(Katakami et al,73rd Annual Meeting of Endocrine Society,Abstract#1608,1991)。平成4年度では、GHならびにSRIF合成・分泌がともに低下したラットを作成し、in vivoでの視床下部GRF遺伝子発現に及ぼすGHの単独作用を明かにするため、当動物実験施設で飼育管理中の遺伝性侏儒症ラットを用いて、実験的にSRIFを選択的に枯渇し、GHならびにSRIFの影響をなくした状態で、GHを外因性に投与し、GHの視床下部GRF遺伝子及ぼす影響を観察した。遺伝性侏儒症ラットの繁殖に障害を来たし、実験遂行に十分な匹数がえられなかったこと、当ラットにおいてはSRIFを選択的に枯渇する薬剤にたいする毒性が強く、SRIFを枯渇するに十分な量が得られなかったことより、本実験は遺伝性侏儒症ラットSの繁殖能が回復するまで延期した。また、TRH、CRFの各10μg脳室内投与は弓状核のGRFならびに室周囲核のSRIF遺伝子発現には有意の変化を及ぼさなかった。次に、GRFのSRIFに及ぼす単独作用を検討する目的で、GHの影響を除外した動物、遺伝性侏儒症ラット、ヒトGRF遺伝子を導入したヒトGRF‐transgenicラットの作成を試みた。trandenicラットの解析のため、血中GRFを抽出操作無しに測定するための高感度EIA法を開発した(Hidaka et al,Clin Chem Enzymol Comm 1992)。さらに、正常SDラットにヒトGRF遺伝子を導入し、GHとGRFを経時的に測定することに成功した(Katakami et al,75th Endocrine Society Meeting Abstract)。現在、数匹のヒトGRF遺伝子を導入した遺伝性侏儒症ラットを得ている。今後、GRF過剰発現を示す本症ラットにおける内因性SRIF遺伝子発現を検討する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 井上 秀喜 他: "成長ホルモン促進因子(GRF)の遺伝子発現と分泌調節機構。" 日本内分泌学会誌. 68. 1057-1072 (1992)
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[Publications] Hidaka et al: "Sensitive sandwich enzume immunoassay for human growth hormonereleaseing hormone in plasma" Clinical Chemistry and Enzymology Communications. 4. 305-310 (1992)
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[Publications] Osamura RY et al: "Immunohistochemical expression of Pit‐1 and functional differentiation of pituitary gland in hGRF‐transgenic mice" Endocrinologia Japonica.
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[Publications] Katakami et al: "Pulsatile GH secretion in human GHRH‐transgenic rats." 75th Endocrine Society Abstract.