1991 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄・単球系白血病細胞における増殖因子サイトカイン遺伝子の発現とその意義の解析
Project/Area Number |
02671125
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Research Institution | Fukui Medical School |
Principal Investigator |
和野 雅治 福井医科大学, 医学部, 助手 (20210990)
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Keywords | 白血病 / 増殖因子 / オ-トクリン増殖 / GーCSF / GMーCSF / MーCSF / サイトカイン / 造血因子 |
Research Abstract |
平成3年度は症例の蓄績が更に進み統計的解析が可能となった。前年度の結論が確認されたとともに、各病型間の比較が可能となり、MーCSFの検討も可能となった。また、サイトカインの産生のmRNAレベルでの解析を開始した。その結果以下のことが当該以下のことが当該年度中に明らかになった。1.急性骨髄性白血病全例(26例)がGーCSFまたはGMーCSFに増殖反応を示すが、M4・M5病型はM1ーM3病型に比べ反応性が低く、GーCSF反応性では有意差を認めた(p<0.05)。2.GMーCSF反応性とILー3反応性との間には正の相関が認められた(r=0.894、p<0.001)。3.MーCSFに対する増殖反応を38症例について検討したが1例の増殖反応も認めなかった。4.サイトカインの産生はGーCSF:33%、GMーCSF:38%、ILー1β:33%、ILー6:69%、TNFα:78%であった。5.GMーCSF産生とILー1β産生との間には正の相関があり、AMLーM4・M5病型では直線の傾きが小さく、他の病型と区別された。6.試験管内でオ-トクリン増殖を認めたものは47症例中4例(いずれもAML)であり、3例がGーCSF・GMーCSFの両者を、1例がGーCSFを産生していた。7.これら4症例中3例の新鮮細胞でGーCSF・GMーCSFのmRNAが確認され、生体内においてもオ-トクリン増殖が生じていた可能性が示唆された。8.血白病細胞の試験管内における生存期間と分離直後3日目の時点での ^3Hーthymidine取り込みとの間には正の相関(r=0.787,p<0.001)があり、AMLーM3病型の細胞は明らかに他の病型に比較して生存期間が短かった。9.慢性骨髄単球性白血病に由来する細胞株OMKー91を樹立した。 以上、白血病細胞の機能がFAB分類の病型と密接に関連することが示され、増殖反応性・サイトカイン産生能・試験管内生存期も等の白血病細胞の機能解析が補助診断の方法となり得ることを示した。血白病細胞が産生する多種のサイトカインの意義と細胞株OMKー91に関する解析は引き続き今後の検討の課題である。
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[Publications] 和野 雅治: "骨髄・単球系白血病細胞における各種CSF遺伝子の発現とその受容体の機能の研究" THE MEDICAL BULLETIN. 9. 37-42 (1991)
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[Publications] 和野 雅治: "骨髄・単球性白血病細胞のコロニ-形成刺激因子産生能とその臨床的意義に関する検討" Interntl. J. Hematol.54(Suppl.1). 127 (1991)
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[Publications] 和野 雅治: "特集I「サイトカイン遺伝子の発現と核内因子)ILー2" 臨床免疫. 24. (1992)