1990 Fiscal Year Annual Research Report
Ph'陽性急性白血病における白血病細胞起源の解析および造血因子に対する反応の検討
Project/Area Number |
02671137
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
大屋敷 純子 東京医科大学, 医学部, 助手 (20191950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大屋敷 一馬 東京医科大学, 医学部, 講師 (20201387)
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Keywords | Ph陽性急性白血病 / MーBCR / 免疫関連遺伝子 / サイトカイン |
Research Abstract |
Ph'陽性白血病はstem cellに近いレべルでの白血病として知られており,またPh'陽性急性白血病(以下 Ph+AL)の中には,いわゆるMixed lineage leukemiaの性質を有するものがある。一方,Ph+ALのなかには,慢性骨髄性白血病(以下 CML)と同じMーBCR部分で切断を有するものとそうでないものがあり、両者の間で白血病細胞の性質がどのように異なるかは興味深い。そこで、Ph+ALについて白血病細胞のもつ性質を明らかにする目的で、免疫関連遺伝子再構成について検討すると共に,一部の症例では,in vitroでのサイトカインに対する反応性について検討した。 本年度検討したPh+AL(12例)は,MーBCR再構成の有無により,MーBCR rearranged Ph+AL(6例)とMーBCR nonーrearranged Ph+AL(6例)に大別され,前者はCMLの亜型と考えられた。一方、免疫関連遺伝子再構成より,これらの遺伝子再構成以前に生じたと考えられるstem cellレベルでの腫瘍化の存在が示唆された。即ち、全例CD19,CD10陽性で,B precursorの性質を持ちながら12例中3例では,Ig遺伝子構成を認めず、この表現型と遺伝子型の解離という現象はPh陽制細胞の一つの特徴であろう。 また,サイトカインに対する反応性という側面から見ると,MーBCR rearranged Ph+ALの例ではGーCSF,ILー3などに対し,in vitroで反応が見られた。このように,遺伝子解析,サイトカインに対する反応性を含めた多角的解析によりPh陽性細胞の生物学的特性を明らかにすることが,適切な治療法の選択への歩一歩であり,今後の課題といえる。
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[Publications] Junko H.Ohyashiki,Kazuma Ohyashiki,et al.: "Immunoglobulin and T cell receptor gene rearrangemeut in Philadelphia chromosomeーpositiue leukemia:A different involvement patternin blastic crisis and a cute leukemia" Leukemia. 4. 572-579 (1990)
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[Publications] 大屋敷 純子: "Ph陽性急性白血病における細胞起源の解析:免疫関連遺伝子再構成およびin vitroにおける各種サイトカインに対する反応性の検討" 臨床血液. (1991)
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[Publications] Tetsuzo Tauchi,Junko H.Ohyashiki,et al.: "Methylation status of Tーcellーreceptorーbetaーchain,geve in B precursor acute lymphoblartic leukemia:conelation with hypomethylation and gene reavargegment" Cancer Research. (1991)
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[Publications] 大屋敷 一馬,大屋敷 純子: "日本血液学全書.分子血液学 IV 癌遺伝子と血液疾患" 新版日本血液学全書刊行委員会編(丸善), 9 (1990)