1990 Fiscal Year Annual Research Report
血小板の膜糖蛋白GPIIb/IIIa複合体の機能ドメインの解明
Project/Area Number |
02671140
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田上 憲次郎 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部門, 部長 (30014137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 紀子 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部門, 研究員 (30124431)
桜庭 均 東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝学研究部門, 室長 (60114493)
大野 茂男 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部門, 研究員 (10142027)
片桐 康博 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部門, 研究員 (60194768)
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Keywords | 血小板無力症 / GPIIb / IIIa複合体 / Fibrinogen結合部位 / PCR法 / cDNA異常 / 血小板凝集能欠損 |
Research Abstract |
今年度も従来に引き続き、血小板無力症患者の血小板について交叉免疫電気泳動法(CIE)によって血小板膜糖蛋白のGPIIb/IIIa複合体の検索を行なった。今年度中に新たに5例の血小板無力症の診断を確定した。そのうち、4例はtypel,1例はvariant型(亜型)であった。これまで検索済みの14例を加えると、総計19例になり、typeIが11例、typeIIが4例、亜型が4例となる。本症ではそのGPIIb/IIIa複合体の異常にはかなりのheterogeneityが存在することを再確認した。 正常ヒト血小板からのmRNAの抽出方法について先ず検討し、Newmanらの方法を若干改変しほぼ満足すべき方法を見出した。このmRNAを鋳型にして、first strand cDNAを合成し、これをPCR法にてGPIIIaのDNAを増幅する条件について検討し、90℃で1分、ついで52℃で2分、以後は72℃の2分の32サイクルを用いることにした。 CIE上でGPIIb/IIIa複合体が正常の約10ー15%程度に残存し、血小板凝集能は完全に欠損していたtype IIの血小板無力症患者(M.K.)の血小板から抽出したmRNAをもとに上記の条件でPCR法を用いてGPIIIaのcDNAを増幅した。その成績では、674ー675番のCGがGCに変化し、アミノ酸では192ー193番のHisーValがGlnーAsnに変化しているような成績であった。この異常が当初の目的としてのGPIIb/IIIa複合体のfibrinogenの結合ドメインの異常である可能性もあるが、そのほかに本例はいわゆる亜型ではなく、GPIIb/IIIa複合体が正常の10ー15%程度に残存している症例であることを考慮すると、GPIIIa分子上のGPIIb分子との複合体形成に関与する部位である可能性もある(この部位の異常のためGPIIaとGPIIIaの複合体形成が不良となり、本複合体が減少した可能性もある)。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Suzuki,H.,KinloughーRathbone,R.L.Packham,M.A.Mustard,J.F.Tanoue,K.,Yamazaki.H.: "Localization of fibrinogen during ADPーor thrombinーinduced aggregation of washed rabbit platelets." J.Histochem.Cytochem.,. 38.869-874. (1990)
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[Publications] Yamaguchi,A.,Tanoue,K.,Yamazaki.H.: "Secondary signals mediated by GPIIb/IIIa in thrombinーactivated platelets." Biochim.Biophys.Acta.1054.8-13. (1990)
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[Publications] Suzuki,H.,Katagiri,Y.,Tsukita,S.Tanoue,K.,Yamazaki,H.: "Localization of adhesive proteins in two newly subdivided zones in electronーlucent matrix of human platelet αーgranules." Histochemistry.94.337-334. (1990)
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[Publications] Katagiri,Y.,Hayashi,Y.,Yamamoto,K.,Tanoue,K.,Kosaki,G.,Yamazaki,H.: "Localization of von Willebrand factor and thrombinーinteractive domains on human platelet glycoprotein Ib." Thromb.Haemostas.,. 63.122-126. (1990)
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[Publications] Yamamoto,N.,Greco,N.J.,Barnard,M.R.,Zain,B.Tanoue.K.,Yamazaki,H.,Jamieson,G.A.: "GPIbーdependent and GPIbーindependent pathways of thrombinーinduced platelet activation." Blood.(1991)
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[Publications] 田上 憲次郎,赤松 紀子: "流血中の活性化血小板をいかに把握するか." 病理と臨床.8. 555-559. (1990)
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[Publications] 柴田 昭,花岡 正男編,田上 憲次郎,片桐 康博: "血小板異常症(蛋白異常症を含む).新版日本血液学全書別巻:分子血液学" 丸善., 11 (1990)