1992 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスに誘発された挿入突然変異動物に関する基礎的研究(プラスミドDNAの挿入と回収について)
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02680040
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Research Institution | Keio University, School of Medicine |
Principal Investigator |
下田 耕治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00129470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 一淑 慶応大学, 医学部, 教授 (70051464)
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Keywords | トランスジェニックマウス / 挿入突然変異 / プラスミドレスキュー |
Research Abstract |
1.カルモジュリン遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの1ラインで、導入遺伝子の神経特異的発現に個体差がみられた。導入遺伝子はCaMII型のプロモーター領域(-294〜+68bp)にレポーター遺伝子としてLacZを結合したコンストラクトを用いた。これをC57BL/6マウスの受精卵へマイクロインジェクションし、トランスジェニックマウスを得た。それぞれのトランスジェニックラインの雄を野生型雌マウスと交配し、妊娠13〜16日に胎児を摘出し、LacZの発現をX-gal染色によって観察した。その中の1ライン(W6)の胎児では、導入遺伝子を持っているにもかかわらず、LacZを強く発現するものとしないものが存在した。これらの胎児の胎盤由来DNAを調べたところ、強い発現がみられた個体ではDNAは比較的低メチル化状態であったが、発現がみられなかったものでは著しくメチル化されていた。また成獣の尾のDNAのメチル化の状態を検討したところ、founderでは低メチル化状態であったが、世代を経るにしたがって高メチル化状態に変化していった。高メチル化状態の父親に由来する胎子を5-azacytidineによる脱メチル化を試みたが、遺伝子の発現は観られなかった。 2.カルモジュリン遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの1ラインで、高率に胎子の発育中止が観られた。導入遺伝子はCaMIII型のプロモーター領域(-877〜+103bp)にレポーター遺伝子としてLacZを結合したコンストラクトを用いた。これをF1(C3H/He × C57BL/6)マウスの受精卵へマイクロインジェクションし、トランスジェニックマウスを得た。その中の1ライン(T136)で胎子の半数以上に発育中止が観られ、その形質は子孫に伝達された。この形質は通常の優性あるいは劣性の致死遺伝子とは異なり、興味深い。 これらのトランスジェニックマウスラインについては現在検討中であり、十分なデータが得られしだいその成果を順次学会誌へ発表する予定である。
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