1992 Fiscal Year Annual Research Report
新しく開発した高学習成績ラットの脳科学研究における有用性確立のための基礎的研究
Project/Area Number |
02680041
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
重田 定義 東海大学, 医学部, 教授 (90055707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 秀樹 実験動物中央研究所, 遺伝研究室, 室長 (30142053)
吉田 貴彦 東海大学, 医学部, 講師 (90200998)
三澤 哲夫 東海大学, 医学部, 講師 (80056340)
相川 浩幸 東海大学, 医学部, 助手 (40102850)
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Keywords | 学習行動 / 近交系ラット / 神経伝達物質 / 神経科学 |
Research Abstract |
1.行動学的検討結果 各種の学習試験による学習能力の比較では、レバー押し電撃回避学習試験のみならず、E型水迷路学習試験およびシャトル箱による電撃回避学習試験においても、THAラットはJcl-Wistarラットに比べてすぐれた学習習得成績を示した。 2.神経化学的検討結果 脳内神経伝達物質の比較では、線状体のアセチルコリン放出量についてはTHAラットはJcl-Wistarラットよりも多かったが、大脳皮質では両群間に差はなかった。スコポラミンにたいするアセチルコリン放出の反応については、大脳皮質ではTHAラットはJcl-Wistarラットに比べて高かったが、線状体においては差が認められなかった。また、モノアミン代謝物の放出量については、THAラットとJcl-Wistarラットの間に差はなかった。 3.遺伝学的検討結果 遺伝的背景の比較では、遺伝子座におけるアミラーゼーI遺伝子が、THAラットとJcl-Wistarラットとは異なることが判明した。 4.免疫学的検討結果 免疫機能の比較では、リンパ球分画試験でTHAラットがJcl-Wistarラットに比べてT細胞亜分画が多く、特にTh細胞が多かった。リンパ球幼弱化応答試験、リンパ球混合培養試験においては、両系統間に差はなかった。 以上の検討結果から、Jcl-Wistar系から発展したこの近交系のTHAラットは、行動学的、神経化学的、遺伝学的、免疫学的にもユニークな特徴を有することが明らかにされ、脳科学研究における実験動物としての有用性が示された。
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[Publications] S,SHIGETA: "A New Inbred Rat Strain “THA"." Rat News Letter. 23. 9-11 (1990)
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[Publications] S,SHIGETA: "Neurobehavioral Analysis Of High-Rate Sidman Avoidance Rat Strain" 薬物・精神・行動. 9. 217-224 (1989)